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僕がミューリエとともに旅を続けるためには、明日の日没までに僕だけの力で試練の洞窟を突破し、タックさんのところへ辿り着かなければならない。
それは今の僕にとって、奇跡でも起こさない限りクリア不可能なくらいの厳しい条件――。
でもこれからの旅において彼女の力は絶対に必要だから、弱音なんて吐いていられない。なんとしてでもその奇跡を起こしてみせる。
そして試練の洞窟へ挑むまでの限られた時間、ミューリエの指導で僕の特訓が始まった。
それは焼け石に水かもしれない。無駄な努力になるかもしれない。意味がないかもしれない。
だけどそんなのは最初から承知の上だ。ほんの一欠片でもいい、何かを吸収して今後に活かすんだ。
――と、意気込んでいたんだけど、僕はミューリエの指示でただひたすらに街道を走らされている。剣の稽古をつけてくれるどころか、持つことさえ許してくれない。まるで肩すかしを食らった気分だ。
こんなこと、何の意味があるっていうんだ? 時間はわずかしか残っていないというのに……。
「はぁっ……はぁっ……っ……」
激しく呼吸を続けているせいか、肺の中がなんだか痛い。しかも口の中は乾くし、喉もズキズキする。
それにさっきから足は思うように動かなくなってきている。足も体も鉛になったんじゃないかってくらいに、いつもの何倍も重く感じる。
これじゃ、剣の扱い方を教わる前に倒れちゃうよ……。
「アレス! 動きが鈍ってるぞ! これくらいでへこたれるとは、お前の決意はそんなものだったのか?」
僕が気弱になりかけているのを察知したのか、ミューリエの激しい檄が飛んだ。雀の涙ほどの甘えすら許してくれそうな雰囲気はない。
ま、彼女の性格を考えればそんなことは最初から分かっていることだけど……。
ちなみにミューリエは離れた位置に立って腕組みをして、こちらの様子を鋭い目付きで監視している。少しでも気の緩みを感じさせようものなら、今みたいにたちまちお叱りを受けてしまう。
――とはいえ、これだけ疲労が蓄積してくるとさすがに瞬間的には心が折れそうにもなる。それくらいは目を瞑ってほしいと愚痴りたくもなる。
だけどやっぱり僕はやるしかない! それしか道はない!
「くっそぉっ! 負けてたまるかっ!」
僕はカッと目を見開くと、気力を振り絞って全身に力を入れた。
なんだってやってやるっ! この特訓を越えてみせるっ!
僕は勇者なんだっ! もう誰にも勇者失格なんて言われないように強くなるんだっ!
――ここでダイス判定。六面ダイスを二個振ろう。数値の合計は?
●7以上……→19へ
https://kakuyomu.jp/works/16816927862192814506/episodes/16816927862194040605
●6以下……→16へ
https://kakuyomu.jp/works/16816927862192814506/episodes/16816927862193982582
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