「今日、動物園で飼っていた3匹のヌートリアが脱走しました。」

フィガレット

「今日、動物園で飼っていた3匹のヌートリアが脱走しました。」

 私は一昨日、彼氏との待ち合わせに遅れた。

 その事で大喧嘩をし、今まさに別れるか別れないかの瀬戸際だ。


・・・


 私は一昨日の遅刻を凄く後悔していた。


 所でバタフライ効果と言うものを知っているだろうか?

 蝶の羽ばたきの様なほんの些細な動きが、とても大きな現象に繋がる可能性があると言う事だ。


 つまり風が吹けば桶屋が儲かる。だ


 ふと目が覚めると私は布団の中にいた。


「はっ!遅刻!?」


 私は慌てて目を覚ます。

 時刻はまだAM6時。


「まだ6時じゃない・・・」


 あの日もこれくらいの時間で起きれていたら

遅刻何てしなかったのに・・・。


 目が覚めてしまった私は特に予定も無いけど布団から出た。


 TVをつける。


ニュース「今日、動物園で飼っていた3匹のヌートリアが脱走しました」


「あれ?このニュース。捕まったっていってなかったっけ?」


 地元の動物園だったので、このニュースには凄く聞き覚えがあった。

 この辺りは元々、野生のヌートリアが大量繁殖していて

正直3匹増えたってなんて事はない。


 むしろ捕まえたって言ってたけど「それ絶対野生の奴でしょ!」と

誰もいない部屋で思わずツッコんでしまった。


 スマホを見る。日付がおかしい。


「昨日の日付になっている?」


 壊れた?その時テレビから


ニュース「○月○日昨日午後5時ごろ、火災が発生しました。」


 一昨日の日付を昨日と言っている。


 もしかして私、昨日にタイムリープしてる!?

 やった!これならあの遅刻をやり直せる!!


 私はすぐにデートの準備を始める。

 デートの待ち合せは10時、今はまだ6時過ぎだから余裕だ。


 いつも以上に気合を入れてメイクをする。

 今日のデートは遊園地の予定だから動きやすい格好に

それでいてお洒落感を出すワンポイントは外さない様に注意する。


 よし!バッチリだ♪


 そしてマンションの鍵を閉め上機嫌で外に出た私の目の前には・・・


 足に足枷と鎖が付いたヌートリアがいた。


 ヌートリアから伸びている鎖が排水溝の蓋に引っ掛かり動けなくなっている。

 一通り外そうと暴れた後なんだろう、随分と大人しくなっている。


 そしてそのヌートリアと目が合った。


「そんな目でみるなよぉ。わかったわよ、助けてあげるわよ!」


 服を汚したくないけど仕方ない。


 私はその子の鎖を外して上げる事にした。


「硬いわね・・・ガッツリ絡んじゃってるじゃない!」


 仕方なく私は溝の蓋ごと持ち上げる。


「重っ!」


 ギリギリ私の力でも持ち上げる事が出来た。

 こうして鎖は無事外れたのだけど・・・


「外せたけどこのままだとどうせまたどっかに引っ掛かりそうね」


 良く見ると足枷の付け根がキーチェーンのフックの様になっていた。


「初めからこっちを外しとけば良かったじゃない・・・はぁ・・・」


 流石に足に触るのは勇気がいるわね。


 野生動物はどんな病気を持っているか分からないから絶対真似しちゃいけないよ。


 私は足枷についていたフックを外した。

 とりあえずこれで大丈夫だろう。


 すると助けたヌートリアはスッと立ち上がり・・・


 2本足でお辞儀をした。


「助けて頂き本当にありがとうございます」


 実はこのヌートリアは宇宙人に拐われ改造された、人以上の知能をもったヌートリアで、同じく宇宙人に改造された悪のアライグマ達と戦っており、動物園から逃げたヌートリアは特別な力を持つ勇者のヌートリアで、悪の組織アライグマ達と戦う内に衝撃の新事実!実はアライグマは在来種である、たぬきだったのだ!騙されていた私はたぬきと手を組むもヌートリア達は圧倒的な数で襲い来る。そのあと色々なんか何だかんだすったもんだした結果・・・



 世界が滅びました。





「と言う夢を昨日見たのよ!だから私、一昨日遅刻したのを後悔はしてないわ!」


彼氏「いや、反省はしろよ!!」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

「今日、動物園で飼っていた3匹のヌートリアが脱走しました。」 フィガレット @figaret

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る