欲望の場所

バブみ道日丿宮組

お題:愛と欲望の屍 制限時間:15分

欲望の場所

 ある死体置き場を知っているだろうか。

 いや、正確には知らないほうがいいだろう。

 一般的にあそこから生き延びたやつはいない。

 じゃぁなんで俺は生きてるかって?

 俺は俺じゃなくなったから、俺である象徴をあの欲望の妖怪から切り取った。愛のためならとか、欲のためなら、性のためなら屍になるまで吸い尽くされてもいいやってやつは意外に多い。

 この世の中は不幸なことしかない。

 それはまぁ至極当然だ。

 幸せばかりだったら、さすがに気が狂ったりするだろうしな。

 まぁ、そんな話は今はいい。

 俺はその欲望の妖怪の噂は少しながら大学で聞いたことはあった。最高の快楽、最高の天国にいけるというまるで薬物のような場所があるという話を。

 いわゆる都市伝説ってやつだな。

 だが、それは都市伝説じゃ消してなかった。

 わずかながら、知ってるやつ、見たことのある顔が次々と消えていった。行方不明。どこにいったのかもわからないと警察もお手上げだった。

 というか、警察もなんだか関わりたくないようなそんな扱いをされたと友人の母親がいってた。

『毎度くる警察官が違ってた』

 担当者が入れ替わってたという話だ。

 大学もうまくいってないし、友人もいなくなってどうせ都市伝説にして脅かすつもりなんだろうと、俺は感じ、友人の遺品をいくつか貰い受けた。

 その中にあるものがあった。

 昔からの腐れ縁というか幼稚園から使ってた秘密の暗号文字だ。そのあるものについに場所を発見したと書いてあって、住所まで書いてあった。

 この場所についたら、脅かすつもりなんだろうと大学をしばらく休むことにして場所に向かったわけだ。

 仮に死ぬ前に本当にいい思いができるなら、いいかもしれないって甘い考えを少しは抱きながらな。

 まさか欲望の限りを吸い尽くす化物だとは思いもしなかったがな。

「……」

 今は性別を変えて、完全に20年という人生を捨てた。

 そのおかげもあってか、変われた。

 あの場所はもう思い出したくもない。

 性と生命を吸われた屍が大量に転がった死体置き場。

 その干からびた屍の中にある見知った顔。警察官のような服。いろんなものが転がってた。

 それを凝視したら背後から迫る、欲望たちに俺は狩られ始めた。


 人生ですることもないだろうと思ったことで、よく死ななかったのと思う。出血多量でへたをすれば死んでたのに。

 ある意味でどうでもよかったってのが、唯一の救いだったのかもしれない。

 男という拘りに。

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欲望の場所 バブみ道日丿宮組 @hinomiyariri

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