通報と現実

バブみ道日丿宮組

お題:俺は事件 制限時間:15分

通報と現実

 街の厄介者のレッテルを貼られた俺は、容疑者として確保されたというか自首させられた。取調室では聞いたこともないような単語ばかりを聞かされて眠くなる一方ーー担当者はイライラ感を増していった。

 法律が最近色々変わって、取調室の映像は親族関係者やその他決められた人が見れるようになった。警察が警察まがいのいわゆる脅していないかをきちんと監視するということだ。

 だからこそ、事件の解決には少し時間がかかるようになった。

 もちろん証拠があれば一目瞭然、たくさんの目が見てる中動揺など様々な疑いの視線を浴びることにより先に心が折れるというパターンが増えてる。

「……それでそれは面白いんですか?」

「面白くはないよ。殺人事件だからね、君がいたという証言を受けてる以上こちらは楽しいという感情なんてないよ」

 さようですか。お仕事ですものね。

「あぁ、あなたにいったわけじゃないですよ」

 厄介者だからって、更生の機会を与えようじゃないかと、どこかの誰かが起こした事件を俺がまるでしたかのように仕向けた街の連中はさぞ楽しんでることだろう。

 映像を見てる中にその人物がいるかはさておき、両親や妹は不安でいっぱいかもしれない。殺人者が身内から出たとなれば、いじめやレッテルを貼られることになる。

 特に妹は引っ込み思案だし、間違いなく学校に行きたくなくなる。出来た友だちとも話さなくだろう。

「それでこれらに見覚えはないんですね?」

「いったこともないし、漢字が大体読めないってさっきいってるじゃないですか。古代文字がなんですかこれ?」

 歴史深いものがこの街にはあるらしく遺跡があったり、オーパーツがあったりとへんなものばかりがある。

「それは今こちらで確認中。次だーー」

 警察はすいって次々に証拠らしき物体を見せてくが、何もパッとしない。

 被害者にあった人は男だし、女だったら可愛かったらちょっとはおっとなるかもしれないがそっちのけはない。

 いくら厄介者であっても、事実を実行したなんてことはない。根も葉もない噂が広まってそうなっただけだ。

 クマを片手で投げ飛ばしたとか、コンクリートを食べてたとか、鎖で毎日縄跳びしてるとかどれも人間離れしたものばかりがなぜかそこら中に渦巻いてる。

「これも知らないですよ」

「はぁ……そうですか」

 警察が困り果てた表情を浮かべる。

 面倒くさいのはこっちだっていうのにな……。

 

 はぁ……帰れるのはいつになることやら。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

通報と現実 バブみ道日丿宮組 @hinomiyariri

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る