音楽
バブみ道日丿宮組
お題:薄汚い音楽 制限時間:15分
音楽
最近のマンションは防音、床下暖房と便利な機能がついてるものが多い。もちろん、家賃はお察ししてくださいの庶民には到底ムリなもの。
多少の不便を無視すれば無理じゃない物件はあるものの。生活のことを考えると便利さよりも、生活の安定性を重視したくなる。
「……?」
引っ越してきた当初はいったい何の音が聞こえてくるのかがわからなかった。ただの気のせいだとある一定の我慢をしてた。生活音が聞こえることは普通のこと。車の音、緊急放送、緊急車両の音。当然慣れてくるものだと僕は思って毎日大学に通ってた。交番に近いし、親も一人暮らしをやっと許してくれたともあって文句をいって引っ越すわけにもいかない。
駅から近くて、エレベーター、収納ボックス、築4年とわりといい物件……。
そのはずなのだけど、夜な夜な怨霊のような音がどこからか聞こえてくる。それは生活音とは違う何か違和感を得るものだった。実家ではおばさんたちの話し声やらは耳にしたけど、怨霊とまでは感じることはなかった。
どちらにせよ、気にせず過ごすしかないと腹をくくって大学生活を満喫しようと数ヶ月がたった。
そんなある時、大学生の友だちが泊まりさぁ寝ようかという時間になると、『うるさいね、この音楽』と当然のように言われてはじめて聞こえてた音が怨霊ではなく音楽だということに気付かされた。
一人暮らしが長い友だちのアドバイスで、スマホのアプリをインストールし周波数を調べてみると、確かにそれらしい周波数が出てた。もちろん、僕にはその知識はなく友だちが断定したのだけど。
そして外に出て14階ある階層を1つ1つ登りつつ調べてくと、確かに音楽が聞こえてきた。爆音というわけではないが、ひび割れた瓶が踏まれるような、黒板を引き裂かれるような不快な音。音楽といえば聞こえはいいけど、薄汚いような何かが耳に響いてきた。
だけど、わかったのはそれだけでいったいどこの部屋からそれが響いてるのかはわからなかった。
あとあと知ることになるのだけど、応募したいアマチュアバンドたちが多く住んでる場所だったらしい。
音楽 バブみ道日丿宮組 @hinomiyariri
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