固定イベント

★マスターシーン:「夢の国へようこそ!」

〇描写

 続々と集まる人々。あなたたち含め、彼らが目指すのは入場ゲート。招待チケットを持ってそこをくぐれば、『夢の国』に行くことが出来る。


 敷地内にある駐車場への道を横目に、バス停から歩く。

 もうすでに廃業した遊園地。道は雑草が生え始めており、レンガ色の石畳は所々めくれあがっている。それでも今日は、かつてと同じように目を輝かせた人々が歩いていく。


 やがて見えてくる、アトラクションパークの入り口だった場所。ガラスの割れた券売所があり、そのすぐ横に入場ゲートはあった。

 入場者数をカウントするための回転式のバーがついたゲートが5列並んでいる。


 「よっし、行くか!」


 髪を明るい色に染めた若者が、威勢よくゲートをくぐる。

 すると彼の姿は透明な幕をくぐるように掻き消えた。その光景に驚き、しり込みする人もいる。

 しかし、そもそもここに来た人たちの多くは、ある程度肝を据え、覚悟を持ってきた人々。彼に続いてゲートをくぐるものが大半だった。

 時折いる、ただゲートを抜けただけの人はチケットを持っていないか、あるいは偽物をつかまされた人だろう。


 意を決し、ゲートをくぐって最初見えるのは、巨大なアーケードと、動物を歪につぎはぎしたような見た目をした着ぐるみたち。

 彼らはポップな動きで、入場者にパンフレットや風船を渡している。


 アーケードにはレストランやグッズ販売所が並び、移動式店舗のポップコーンも販売されていた。

 また、高層の建物も建っていて、そこはホテルになっており、長期滞在できるようになっていた。


 パンフレットによれば、遊園地全体は円の形をしている。

 入場ゲートは南側、商業エリアにある。中央に巨大な湖があり、日によって水上パレードが行なわれると書いてある。

 東には子ども向けの、つぎはぎマスコットがメインのエリア。

 西にはゴーカート、ゲームセンター、お化け屋敷などがあり、北側にフリーフォールや空中ブランコ、急流すべりなどの王道アトラクションがある。

 モノレールとジェットコースターの線路が園全体に張り巡らされていて、各地に乗り場があるようだった。


 不思議なことに、ピンク色の雲が敷地の外を覆っている。

 太陽がなく、室内にいるような明るさのため、携帯の時計はこまめに確認する必要がありそうだ。ゲート以外から敷地外に出ようにも、薄く弾力のある膜にはじかれてしまうのだった。






●GM情報

 『夢の国』にはPCが望む全てのアトラクション・設備・物資があります。ただし、例えば武器・防具といった、“悪豚”達にとって不都合なものは戦闘時に、砂となって消えてしまいます。

 『夢の国』は“悪豚”の持つモルフェウスの創造能力と、“貪食”の持つオルクスの領域能力が合わさってできています。

 主に空間そのものをオルクスが、施設、食べ物やグッズ、領域外で必要なチケットなどをモルフェウスの能力が作っていることとします。


 また“悪豚”が持つもう一つの能力ソラリスの能力で、領域内には常に一般人の思考を鈍化させる物質が漂っています。

 おおよそのことを「都市伝説の場所だから」で納得します。

 ただし、オーヴァードであるPC達にはほとんど効果がありません。

 “悪豚”と“貪食”はスタッフ用の扉(どこにでも行ける某便利ドアをイメージ)を使って、領域内を自由に行き来できますが、原則PC達は使用できません。開くことすらできません。

 キャストなどは有志、もしくは“悪豚”によって調合された薬で働いています。

 貨幣は存在せず、望むものは無料で手に入ります。また、写真や動画はブレてうまく撮れません。


 人々が手にしているもの、口にしているものは所詮まがい物です。

 長く滞在すれば、やがて栄養不良に陥り、思考も鈍くなっていきます。

 望むものは全て手に入り、労せず生活できる。

 一般人は楽しく、幸せな状態であると錯覚します。

 そうして幸せを感じている彼らを、“悪豚”は“貪食”に献上します。

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