【実話と創作】ホラー置き場
奏羽
【実話】アナウンス
友達から聞いた話。
友達の家、別に田舎ってわけじゃないのに、畑や田んぼのど真ん中に家があって、夜中になると外から聞こえる音が全くないらしい。
田んぼが近いから、季節になると蛙の鳴き声が五月蠅いらしいけど、その時は真冬で蛙もいない季節。
そんな時、翌日が休みってこともあって、少しだけ夜更かしをしていたらしい。
家族も寝静まって、家の中は勿論、家の外からも音が聞こえない。
自分が観ている動画の音だけが友達には聞こえていたらしい。
暫く動画を観ていると、もうとっくに深夜になっていて、友達は「あ、寝なきゃ」と思ったそうだ。
観ていた動画を消して、目を瞑った時だった。
遠くから音が聞こえる。
耳を澄ましたら、微かに聞こえる。そんぐらい小さい音。
動画の消し忘れかと思って、スマホを確認するけど、アプリは消されていた。
試しにスマホの音量を下げてみても、音はまだ聞こえる。
家族が起きている? そう思ったけど、友達の家族はみんな早寝早起きらしく、深夜まで起きていることはないとのこと。
そもそも、音は家の中からではなく、外から聞こえているようだった。
窓に近付いてみるとビンゴ。音が少しだけ大きくなる。
カーテンを開けると真っ暗な田んぼと畑がずらーと奥まで広がっている。
家の近くには何も見えない。
窓を少しだけ開けると音がより一層大きくなった。
「――は、――――で、――は――」
喋り声? 人間的ではない機械的な喋り声が遠くから微かに聞こえたそうだ。
友達は怖がりだから、この時点でかなり怖かったらしい。
窓から見た家の周りには人影はない。それなのに喋り声。
幽霊が近くにいると思うと、急に怖くなって、少しだけ窓を開けたまま、ベッドに戻ったらしい。
やはり何かを話しているような声が遠くの方から聞こえる。怖くて怖くて、目を瞑って、聞こえないフリをしたらしい。
しばらくすると、話し声が途切れ、微かに「ぴんぽんぱんぽーん」と聞こえた。
友達はこの時、一瞬安心したと言っていた。
なんだ、行方不明のアナウンスか何かだったのか。
そう思ってホッと安心したその直後、あることに気が付いてぞわっと鳥肌が一気に立ったらしい。
この話を聞いた時、友達に何に気付いたのか気になって訊いた。友達はこう答えた。
「俺が起きていたのって午前二時だぞ。あの時間にアナウンスなんてするか?」
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