第24話 絵に描いた餅

 えー皆様、異世界ニュースのお時間です。



 先日、某異世界、某国で開催されたビックイベント『第64回異世界オークション』で出品され、金貨88万7710万枚で競り落とされた絵画『絵に描いた餅』が、異世界一級鑑定師『芽嬉々素語彙めききすごい』さんの鑑定結果により、今日、これが偽物であることが分かりました。



 事の経緯は、オークション参加者である『大金たいきん所持しょじ』さんが、この絵画を競り落とした友人の『女鹿めがふし阿奈あな』さんの家に遊びに行き、自室に飾ってあった『絵に描いた餅』を目にしたところ違和感を感じた為、自分が信頼できる異世界一級鑑定師『芽嬉々素語彙』さんに鑑定を依頼。すると『絵の具の層が薄い』『塗りが甘い』『絵を描く紙が新しすぎる』等の事から『絵に描いた餅』が偽物であるという事が判明しました。



『女鹿節阿奈』さんは、偽物を出品させたオークションの運営者たちに、怒りの声をあげていました。




 偽物の『絵に描いた餅』を競り落とした

『女鹿節阿奈』さん


「今回、私はオークションを開いた運営責任者達に強い憤りを感じております! 彼等は『絵に描いた餅』を良く鑑定せずに出品し、私に偽物を掴ませた! これはあってはならない事です!! 私達はただ大金を払っているんじゃない! そこには、その品々における並々ならぬ思いが詰まっているんです!!」




『絵に描いた餅』を偽物と見抜いた

『大金所持』さん


「確かに、今回の件は非常に残念な事だと思います。偽物を全異世界に出回らせる事になりますし、何より偽物を描いた相手に、大金を手渡してしまうことになる。オークションの運営者は、もっと出品物の管理を徹底するように心掛けて欲しい所です。……まあ、私が見てもあの絵、偽物だって直ぐに解ったんですけどね。どうして皆、判らなかったのかなあ?」






『女鹿節阿奈』さんが絵画に支払った金貨88万7710万枚は、今の所、戻ってくる保証は無いという事です。



 皆さんも、大きな買い物をする時には、偽物に十分注意してくださいね。



 異世界ニュースのお時間でした。




 続いて某異世界、某国で魔術師社長がダンジョン建築を開始したニュースです……

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