世紀末
門前払 勝無
十字架の少女
2xx3年ー。
世界は核の炎に包まれた。
どこぞのボケた大統領がウォシュレットのボタンと核のボタンを間違えたのであるー。
そして世界は滅びたー。
そして!そして!
タコ型の宇宙人とイケメンの宇宙人とブスな宇宙人が地球を支配したー。
そして!そして!そして!
タンポポの花粉によりタコ型宇宙人がくしゃみと同時に吐いた墨でイケメン宇宙人の金髪が黒く染まってしまった。それを見たブス宇宙人が激怒ー。
ブス宇宙人はタコ型宇宙人をたこ焼きにしてしまった。
だが!争いは終わらなかった。
たこ焼きにかけるソースを巡ってイケメン宇宙人とブス宇宙人が争い始めたのである。これが“おたふく”“イカリ”戦争である。
再び地球は滅びてしまったのであるー。
そして!そして!そして!そして!そして!
わずかに生き残った人類が再び地球の覇権を目指し目を覚ましたのであるー。
荒野に立ち上る砂埃の先に四輪バギーとバイクが二台猛スピードで走っている。
バギーの後には十字架に貼り付けられた小さな少女が涙を流しながら叫んでいる。
「キャーーーーーー!!」
バギーを運転しているモヒカンの男はケラケラと笑い声をあげている。
「ギャハハハハハハハ!!」
後のバイクの男達も奇声をあげている。
「ヒャッホゥ~~~~!」
「アーーーーベェーーーーシィーーー!」
三台は先に見える廃れたガソリンスタンドへ向かっている。
エンジンの爆音に気付いた痩せ細った店主がガラス戸から外を覗いた。
「またアイツらか…」
小さく握り拳を握った。
「おい!おやじ!!出てこいよ!」
モヒカン1が大声を上げた。
その後でモヒカン2,3は十字架に貼り付けられた少女を降ろしている。
店主は恐る恐る店から出た。
「やっぱり居るじゃねぇかよ!」
モヒカン1の横を少女が横切って店主へ近付いた。
「おっちゃんよ!また当たったから交換しろや!!」
少女はガリガリ君の当たり棒を店主へ差し出した。
「また当たったんですか!?連続5回目ですよ!」
怯える店主へモヒカン2が詰め寄る。
「おっさんよ!!うちのボスがいかさま無しで当ててんのにイチャモンつけんのかよ!!」
「やめとけ!」
少女はクスクスと笑いながら店主の胸ポケットへ当たり棒を挿して店内へ入った。
「おっちゃんよ!奇跡を見せてやるよ!!!」
そういってフリーザーからガリガリ君コーラ味を一本取りだした。
「おい!!!」
「あ!はい!!!」
モヒカン3がガリガリ君を受け取った。
「見とけ!おっちゃん!」
少女の合図でモヒカン3はガリガリ君を食べ始めた。
「ああああああああああああああああああああ!頭がぁ!!!」
「テメェ!それでもナンバー3かよ!気合いで食べろや!!」
少女はモヒカン3の尻に蹴りを入れた。
「さぁせぇん!!」
そういってモヒカン3は何とかガリガリ君を口に全て頬張った。
そして「あたり」と書かれた棒が現れた。
「奇跡だ……」
店主は跪いて少女へ頭を下げた。
少女はドヤ顔で再びフリーザーからガリガリ君ソーダ味を取った。
「おっちゃんよ!どうせ当たるんだからよ!人数分貰っていくぜ!」
「……は……い……」
店主はフリーザーからガリガリ君を取る少女に後光を見たのであるー。
そして、少女は十字架に右手だけ外してガリガリ君を持ちモヒカン達はガリガリ君を咥えながら走り去った。
「ボス!!俺ら両手使えないから今度は何処かで止まって食べましょうよ!!」
「テメェ!舐めてんのかよ!お前らは頭キンキンさせてハイになりてぇんだろ!」
「でも!限界在りますって!」
「うるせぇ!誰がモヒカンにしてやってるとおもってんだよ!オメーモヒカンじゃ無かったらただの陰キャだろが!!」
「生意気言って!さぁせぇん!!!」
モヒカン達は揃って少女に頭を下げた。
そして再び砂埃を巻き上げながら荒野を爆走して去って行ったー。
おわり
世紀末 門前払 勝無 @kaburemono
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