第17話 タマ魔力補充完了
アーネは、西の勇者らしく、城門を守る衛兵に敬礼されながら、堂々と通り抜ける。
「こういう時に思うよ。アーネって本当に勇者なんだなって……」
ルビは、アーネの得意気な顔を見ながら羨ましく思った。
(昨日、俺なんて英雄の母さんが一緒じゃなきゃ、城門を通過するだけでかなりの時間を費やしたし、さらに謁見の間まで衛兵付きでないと移動させてもらえなかったもんな~その時は、英雄の息子で、まだフレイヤ女王様の婚約者だったんだぞ。)
「ふふん!そうよ~もっと私を敬いなさ~い。」
「うわぁ~こんな勇者嫌だ~」
「こんなのあんたにしか言わないわよ~だ!」
これはアーネにとってルビが特別な存在だという意味でもあったが、鈍感なルビがそれに気づくはずもなかった。
「お二人とも本当に仲がいいですね。羨ましいです。」
桜花が後ろから話しかけてきた。
「仲がいい?いつもブレイズアローをぶっ放す凶暴女と?」
「ふん!こんなのただの巨乳好きよ?桜花、騙されちゃダメよ。」
「巨乳じゃとぉ?」
タマが目を覚まし、いきなり会話に割り込んできた。
ルビの腰の鞄から飛び出たタマは、スルスルと登り、その肩に乗る。
「はぁ~ここにもいたわ。おっぱい星人が……」
アーネは、ため息交じりに目覚めたばかりのタマを冷たい目で見た。
「タマ、もういいのか?」
「ふむ。魔力補充完了じゃ。ここは……城かのぉ?」
「よく分かったな。今からフレイヤ女王様と謁見するんだ。」
「……フレイヤ……女王……」
タマが急に黙り込んだ。
「どうした?」
「いや……何でもないのじゃ……」
タマは、また腰の鞄に入って行った。
「そろそろ到着よ。みんな服装を整えて失礼のないようにね。」
アーネは、キリッと勇者の顔になり、ルビと桜花も緊張した面持ちになった。
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