第2章 ダークエルフ

第13話 アーネと桜花の胸

「あんたね~どうして城へ飛ばないのよ!」


アーネの怒鳴り声が、ルビの家で響き渡った。


「俺が城への迷宮帰還魔法アイテムなんて持ってるわけないだろ?大体だな。あの格好のまま謁見させるつもりか?」

そう言いながらルビは、無能魔王の異形な姿を指差した。


「LV.1の無能魔王でも魔王は魔王だ!あの格好で城門へ行ってみろ!魔王が攻めて来たと大騒ぎになるぞ!」


「あ、ああ……たしかにそうね。」

(私としたことが、ルビに注意されるなんて!どうも駄目ね。さっきマリアンヌ様の話が出たから動揺してしまったのだわ……)


「あわわ!わ、私はやっぱり討伐されちゃうのですか?」

桜花が泣きそうになりながらルビに抱きつく。


ぷにゅぅ。


ルビは、意外にある桜花の胸の大きさに驚きながら顔を赤くする。


(か、かわいいっ!それにこの感触ぅ~シーラの胸より少し小さい感じだけど、アーネなんかより全然大きい!)


「桜花ちゃん。大丈夫だよ。僕が君を守るから……」

ルビが、キリッとした顔で桜花の顔を見つめる。


「なっ!ななっ!何が「僕が君を守るから」よぉ!「僕」って気持ち悪ぅっ!いつも俺、俺って言ってるくせにっ!」


「何だい?アーネくん!ヤキモチかね?」

「ち、違わいっ!ムカつく!ムカつくぅ!ルビのくせにぃっ!」


アーネは、自分の中に湧き上がる感情に整理がつかず、完全にペースを乱されていた。


「桜花ちゃん。服を買いに町へ行こう。アーネの服を借りてもいいけど、胸が苦しいだろうからね。」

「は、はぁ?」

桜花は、きょとんとした顔で自分の胸を見つめる。


「あ、あんたね!ブレイズアロー撃つわよ!それも100発っ!」

「うそうそっ!冗談!冗談だよ!昨夜シーラに貸した服を貸してあげたらどうかな?」


そして、数分後……。

「ちょっと苦しいですけど、どうにか……なり……そうです。」


桜花が悪戦苦闘しながら自分の胸を服に押し込めようとする姿は、とても滑稽に見えた。

「桜花ちゃん、無理してない?やっぱりだよな……」


「やっぱりって何よ!やっぱりってぇ!はいはい!私はどうせ貧乳ですよ~だっ!二日連続でそこ責めなくていいじゃないっ!全世界の貧乳は私の味方だもん!」


さらに数分後……。

「こ、これでどうですか?」


桜花はどうにか服に胸を押し込み、スカートの短さを気にしている。


「う~ん。み、見えそう……コホン!アーネはどう思う?」

ルビはドキドキしながらアーネに問う。


「貧乳の私に聞かないでっ!」

「アーネ、ごめんなさい!ごめんなさいっ!」

アーネの剣幕に桜花は謝り倒す。


「ああん!もうぉ!早く女王様に報告しないといけないんだからね!でもさすがにそのヘンテコな格好で謁見は無理よ。その上からこのマントを羽織って早く町へ行って服を買いましょ。」


ということで、無能魔王こと桜花の服を購入するために町へ向かうことになったのだった。

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