人生で初めての彼女をチャラ男にあっさり寝取られ、絶望する俺を清楚ビッチなアラサーお姉さんが癒してくれた話。
六志麻あさ@12シリーズ書籍化
第1章
1 初彼女がチャラ男に寝取られた
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一人暮らしのアパートの一室で、俺……
「ごめんね、コータ。あたし、好きな人ができたの」
「えっ? えっ?」
頭の中が真っ白だった。
目の前の相手――
ちなみに魅花にとっても、俺が初彼氏。
童貞と処女で近いうちにロマンチックな初体験を――なんて妄想いっぱいだった俺には、完全に青天の霹靂だった。
「じゃあそういうわけだから!」
一方的にそう告げると、彼女は部屋を出ていった。
バタンッ。
ドアの音だけが虚しく響いた。
一人残されたベッドの上で、俺はしばらく放心していた。
そして我に返った瞬間、怒りが込み上げてきた。
「ふざ……けんなよぉおおおっ! 何だよそれっ!? いきなりすぎるだろうがぁあああっ!」
納得がいかない。
俺は部屋を飛び出した。
もう一度、魅花を問い詰めるつもりだ。
彼女の後ろ姿を発見する。
近所の公園に入った。
よし、ここならひと気がないし、ゆっくり話ができる――と思ったら先客がいた。
「よう、魅花。彼氏に話はつけてきたのか?」
チャラチャラした大学生くらいの男が魅花に話しかけている。
いわゆるチャラ男だ(そのまんまだが)。
「うん、ちゃんと別れてきたよ」
「すんなり別れられたのか?」
「もちろん。好きな人ができた、って言ってきたもん」
と、魅花。
会話の流れからして、たぶんこのチャラ男が『魅花の好きな人』なんだろう。
こんなチャラチャラした男に――。
俺は無意識に拳を握り締めた。
怒りと悔しさ、悲しみと喪失感。
さっき感じた思いがふたたびこみ上げる。
俺よりこんなチャラ男を選んだのか、魅花は……。
どうにもやるせない気持ちだった。
精神的に打ちのめされていた。
そんな俺の気持ちとは裏腹に、魅花の表情は明るい。
「あたし、これからは須山さんの彼女だからね」
「ばーか、とっくに俺の彼女だろ」
言いながら、男……須山が魅花を抱き寄せる。
二人の顔が近づいていく。
「や、やめろ……」
俺は呆然と二人を見ていた。
ただ見つめることしかできなかった。
二人の顔がさらに近づく。
やめろ。
やめてくれ!
だけど二人は止まらない。
ちゅっ……。
小さな音を立て、魅花は――俺の大好きだった彼女は、チャラ男と唇を重ねた。
「あああああああああああああああああぁぁぁぁ……」
俺はその場に崩れ落ちた。
彼女が他の男とキスをしているシーンを目にする絶望感。
目の前が真っ暗になる。
苦しい……。
怒りよりも、嫉妬よりも。
胸の中にぽっかりと穴が空いたような喪失感があった。
「……ん?」
何かに気づいたように、魅花が視線を向ける。
俺に気づいたのか、一瞬驚いたように目を開き、それからチャラ男により強くキスをした。
チャラ男はチャラ男で魅花の胸を揉み始める。
キスだけの関係じゃない。
たぶん、それ以上の行為も経験している――。
そんな雰囲気を漂わせながら。
俺はもはや声も出ない。
よろよろと立ち上がり、力なく公園を後にした。
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