イマジナリーフレンド

久石あまね

第1話 その名は悠也!

 「ジャンケン負けたやつが罰ゲームな」

 悠也はまな板のような平たい胸を張り、意気軒昂と言った。

 「罰ゲームって何するん?」

 弱虫メガネのサトシが気弱な声で言った。

 「もちろん、凛々花のスカートめくるんや」悠也は笑顔で言った。

 悠也とサトシの他にも五人のクラスメイトが教室の端で円陣を組んでいた。悠也以外のクラスメイトはみんな気弱なやつばかりだ。


 「ジャンケンポン!」

 その結果にみんな息を呑んだ。円陣は静まり返った。誰も一言も言葉を発しない。


 グーを出した悠也に対して、みんなはパーを出した。


 悠也は言った。

 「しゃあないな。ジャンケンばかりは運やからな」悠也は若干戸惑ったが、一秒も経たないうちに、威勢を取り戻した。


 「ここで引いたら男やない…ここは俺が凛々花のスカートめくって笑いを取らなアカン」悠也の心の声はそう言った。


 「よっしゃ、お前ら見とけ。スカートめくったる」悠也はそう言うと、若干顔を引きつらせながら、円陣を離れていった。


 悠也は黒板の前で真帆と話しているクラス一かわいい凛々花のスカートを目掛け、アフリカのサバンナにいるキリンを狙うチーターのように、そろりそろりと凛々花に近づいた。

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