あとから来る者のために
絶坊主
第1話 ハンマー男
あとから来る者のために
田畑を耕し
種を用意しておくのだ
山を
川を
海を
きれいにしておくのだ
ああ
あとから来る者のために
苦労をし
我慢をし
みなそれぞれの力を傾けるのだ
あとからあとから続いてくる
あの可愛い者たちのために
みなそれぞれ自分にできる
なにかをしてゆくのだ
坂村真民
「は~だりぃな~。あそこに止めてて良かったな!こんなん持って歩いてなんてアホやろ?」
「そうよね~。空いてんだから止めるよね~普通。キャハハ~!」
ガシャーン!
ガンガン!
ドーン!
バキバキ!
「・・ちょ、ちょ、ちょっと!あれ、アンタの車やん!」
「え?・・・ウッソ!あいつ頭イカレてんのか!おーーい!こらーー!」
カップルが見た光景。
止めてあった自分たちの車をハンマーでぶっ叩く男。いつからぶっ叩いてたのか車のボディは既にボッコボコになっていた。
「・・ハァハァ。お前、頭イカレてんのか!・・・ハァハァ。人の車・・何してんだよ!」
カップルの男は自分の車に駆け寄って男に言った。男はハンマーを振り下ろす手を止め、カップルの男に言った。
「ここ、身体の不自由な方が駐車するところですよね?あなた健常者ですよね?」
カップルの男は悪びれる事なく言った。
「そ、そんなん空いてんだから別に良いだろ!・・てか、それで俺の車ボコボコにしていいわけないだろ!」
ハンマーを持った男は眉一つ動かさず無表情で聞いていた。
「・・で、で、ど、どうすんだよ!俺の車ボコボコにしやがっ・・・」
ハンマーを持った男は持っていたハンマーの柄を手放した。駐車場のアスファルトの上にカランと音を立ててハンマーは落ちた。
カップルの男は狂気に満ちたハンマー男が次なる行動をするのかと話すのを止めて身構えた。
「弁償致しますので、お好きな金額言って下さい。」
ハンマー男は無表情で言った。
カップルの男は、この無表情がさらに狂気に拍車をかけているように思えた。
「こ、この車、ベンツなんだぞ!本当に好きな金額言っていいのかよ!」
「ええ。」
「に、に、二千万!新車で買ったばかりだったからな!二千万だ!」
「あ、そうですか。ならお支払いしましょう。但し・・・」
「但しって何だよ!」
ハンマー男は1枚の紙をカップル男に提示した。
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