籠に入れられた理由

バブみ道日丿宮組

お題:楽しいしきたり 制限時間:15分

籠に入れられた理由

 しきたりによって屋敷の外は見るだけで出ることはできない。

「……」

 籠の中の鳥と呼ばれ、屋敷から来る人の対応をするだけの毎日。

 つまらないってことはなかった。

 アメリカ、香港、ブラジル、インド、イギリス、フランス、オーストラリアと、色んな国の人が私にわざわざ話をしにきてくれた。お父様に呼ばれてご挨拶がしたいって話だった。

 知らない情報のお陰で、知識も増えた。言葉も覚えた。いろんなことが屋敷の外にあるんだなって思うとしきたりを破って外に出てみたくもある。

「……うーん」

 自分で見たり、やったりするほうが楽しいかもしれないけど、なぜか人の話を聞くほうが楽しい気がする。私が知らないことだからかな?

「わかんないや」

 来客してくれた人は二度はきてくれなかった。お父様に聞いても、忙しいからだろうと言ってた。お願いしても断られるからって説得させられた。

 お母様も危ないからやめなさいっていってた。

「ーー怖い……か」

 籠の中の鳥にだって、籠の自由はある。餌係でもある執事たち。別に私は軟禁されてるわけでもないし、屋敷内なら自由に動ける。

 その中で知ったのは、

『君の娘さんは頭の回転がはやすぎて、こちらの思考を読むように会話をしてくる。おまけに難解で詰まってた研究が全て解明されてしまった。不本意だが、頼ってしまってはいけなかったようだ。娘さんにはすまないと伝えてくれ』

 ということが来客した人の感想らしい。

 いったい何の話なんだろうと思う。ただ話してただけなのに研究とか何のことだろう? その国にある世界遺産とか何かかな? それとも新しい動物……動物なら可愛いのがいいな。屋敷内には猫も犬もいるけれど、不思議なこたちはいない。

「はぁ……」

 私はただ面白い話を聞かされたから、そのお礼に私の解釈と改善案を述べただけなのに怖がられるなんて、不本意だな。

「……」

 今日もシンガポールから人がきてくれる。

 しきたりはめんどくさいけど、私は楽しくやってます。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

籠に入れられた理由 バブみ道日丿宮組 @hinomiyariri

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る