平和の国へ

バブみ道日丿宮組

お題:汚れた哀れみ 制限時間:15分

平和の国へ

 心が汚されたと後で後悔するなら、身体が穢された方がマシ。

 でも、それでなぜか怒られるのが日常だ。

 親切は相手にとってはそうではないのが大半。

 自分しか大抵の人間は見ていない。そもそも人間の視野は狭い。見えているようでごく一部しか見えてない。そんな状況で声をかけられて不憫を解消させてくるような人がいたら詐欺に思われるのかもしれない。

 善意が悪意に思われる。

 世界は変化しつつある。

 挨拶はやめよう、人と話すのはやめよう、全てがやめる方向に変わってく。

 人は増えるばかり。知らない人ばかり。会話もないただの第3者が増え続ければ、例え同じ国の人間であっても哀れみが増える原因になる。

 優越感、劣等感。誰もが感じること。些細なことが全てが嫌になる。

 本人はそう思わなくても相手がそうとは限らない。

 それがわからないから、世界は穢れた。

 人が壊れる前に、既に壊れてしまった。

 人の心はもはや悪魔というぐらいに馬鹿げてる。

 だから、ボクは変わった。

 おかしいな人を排除し、根本的なあり方を変えた。

 その効果はあった。

「……」

 弊害はボクの哀れみが薄れて、汚れさえも良しと思うようになったこと。まさに悪魔の中の悪魔にまで堕ちた。

 反乱分子をあぶり出し、二度と出てこれないように調教し直す。その繰り返しで、国は平和にする、平等にしないとおかしくなるという恐怖心にさいなまれるようになった。

 無論、恐怖政治と言われれば近いのかもしれない。

 間違ったことをすれば、知らない誰かに種を植え付けられる。決して消えない後悔という穢れた心を奥の奥に穿たれる。

 そうしたとしても……やはり限度がある。

 

 この国は変わった。良くはなった。きちんとした守備、理想な排除を行った。


 だが、所詮国1つにしか過ぎない。

「……」

 空を見上げれば、ステルス戦闘機が飛んでるのが目に入った。撃墜システムを起動させ、発射させる。

 もちろん、友好国ではない。

 ステルスという時点で偵察してる穢れ。

 見えないものが落とされたと相手国は反発するだろう。

 しかし、変わった国ではなぜレーダーに反応しないものが飛んでいたのかと議論に入り、相手国は黙るしかない。

 世界の中心になることはないだろうが、やがてこの国は孤立するかもしれない。

 それもまた善意なのかもしれない。

 彼らには彼らの、ボクたちにはボクたちの哀れみがあると。

「次は……」

 ボクは根付いた感情を破壊し続ける、悪魔には悪魔にしかできないことがあるんだと示し続けてく。それがボクの善意であり、悪意。

 否定するものもまた同じ。

「ふふ」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

平和の国へ バブみ道日丿宮組 @hinomiyariri

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る