過去から未来に向かって
バブみ道日丿宮組
お題:失敗の男祭り! 制限時間:15分
過去から未来に向かって
「で、これはどういう結果なわけ?」
簡易式の見晴らし台から下を見つめると、ため息しか出ない。
「うーん、宣伝効果が失敗したのかもしれません」
幼馴染という執事は笑い顔でそう答えたので、デコピン。
「あたしはお見合いに見合う男を集めるパーティにしなさいって言ったじゃない」
ほらとスマホに残ってるPDFファイルのデータを顔に押し当てる。
「わ、わかってますってば! ちゃ、ちゃんとお婿さん探しのパーティを開催するので、男性の方は参加するようにって各財閥に電報しました。間違いありません」
と幼馴染はポケットにしまってたのかその電報したらしいポスターのような紙切れを渡してくる。
「ふむ……デザインはさすがに賞をとってあるだけあるーー」
けど、これじゃぁと、
「こうなるのは当たり前じゃない。なんであたしの婿探しなのに性別は問わないって書いたのよ! これじゃぁ女の子ばかりになるに決まってるじゃない!」
「はい、お嬢様は女性に人気でしたので婿には最適かと思いましー」
言い終える前にもう一度デコピン。
「男はどうしたの!? 女の子じゃないのよ! しかもまるでゾンビみたいにこっち見てきゃーきゃー言ってるじゃない! どうするのよ! 降りられないし、喰われるの待つ生存者みたいよ!?」
ピンク色のオーラがホールの中だというのにぷんぷんと見て取れるようだ。
だいたいなんであたしが女の子に持てなきゃいけないのよ。男にきてもらわなきゃ、お父様に勝手に決められちゃう……。
下唇を噛んでると、
「大丈夫です。よくポスターを読んで下さい」
おでこを真っ赤にさせた幼馴染は、ポスターの下部分を指差す。
「ん……えっと性転換手術を受ける覚悟のある方であれば、犬でも猫でも、猿でも象でも……? ここから落としていい?」
「い、いや、さすがにわ、わたしにも生命が大事なので……」
「じゃぁ、なんなのよ! 犬とか猫って! 男の子に入らないでしょ! 性転換手術しても人間にはなれないわ!」
そもそも象とかどう恋愛すればいいのよ……。猿は怖いし……。かといって、あたしたちも猿と根本は変わらないけれど、けれどもね。
「……大体お嬢様は男性苦手じゃないですか」
「そうね……」
痛いところをついてくる。
さすがに失敗した自分の失態は忘れてないか。
男の子に暴力を振るわれたご主人様を守れなかった執事という認識を。
「だから、こうする意外にないかなって」
優しい笑顔だった。そこには悪意はない。
「……わかったわよ。最悪あなたがいるからね。失敗したとしても」
過去から未来に向かって バブみ道日丿宮組 @hinomiyariri
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