第57話
「美和! お前、田上に会ったの?!」
馨がいきなり悲鳴に近い声を上げた。
「どういう意味ですか?」
俺と田村が同時に尋ねた。だが馨は俺たちを無視し、困惑する美和につめ寄る。
「田上にこのことを話したのね! 壊れたのは弱いからだ! 自業自得じゃないか!」
「お祖母様が美奈を認めていれば、あの子は壊れることはなかったわ」
「黙りなさい! 折角、
「美奈はお祖母様を愛していたのよ」
感情的になるのを必死で
「だったら
馨が
残念ながら、彼女には一切の言葉も届いてはいない。それが美和をより一層苦しめていた。
「もう、いいでしょう」
「捨てられませんでした。美奈の努力の
震える声で美和は言った。
その瞬間、彼女の言葉が
――神に
「……愛して欲しかったんだよ、きっと」
俺は若林の手に握られたブロンズ像を見つめながら呟いた。
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