猫様の遊戯
バブみ道日丿宮組
お題:ゆるふわ愛され動機 制限時間:30分
猫様の遊戯
目覚まし時計で目を覚ますと、洗面所に向かい顔を洗う。
その後は、ペットの朝ごはんを用意するのだけど、
「……えっ」
台所の床が真っ白だった。
おまけと言わんばかりに、冷蔵庫、食器棚の一部が白い。
近くには逆さまになった小麦粉の袋が転がってる。原因はこれだろう。ならば、要因はなんだったのかと、しゃがみ込む。
「……ばればれじゃないか」
床に残るのは、いくつかの足跡。
どうみてもペットである猫様のものだ。
「いたずらかな」
台所には入らず、いったん猫様を探すことにした。
これは説教コース。おやつ抜きも検討しなくてはならない。
リビングにある猫タワーにはいなかった。寝床である小部屋にもいない。
「かくれんぼかな?」
猫様はとことこん遊んで欲しいのかもしれない。
じっくりと探すのもいいが、トイレに行きたくなってきた。漏らすのもあれなので、探索を中止してトイレを済ませる。
隠れた猫様を探すのは難しい。軟体動物かよっていうぐらいに隙間に入り込んで一体化する。うちの猫様は一回り小さいので余計に見えなくなる。この前お風呂に入れたとき、桶に完全に動画してた。そのまま保存していたいくらい可愛かったな。
「さて……」
あまり時間をかけると、大学に遅れるからと思考を変える。
玄関前にある掃除用具から箒とちりとりをとりだして、台所に戻り、少しずつ小麦粉をすくってく。
落ちた小麦粉は流石に使えないので、そのままゴミ袋にシュート。
何回か繰り返してるうちに、本来の床色である肌色が見えてきた。
あとは濡れ雑巾で拭いてく。これも何度も繰り返す。
さすがに小麦粉が全部こぼれたわけじゃないので、なんとか10分ぐらいで片付けることができた。
「にゃ~」
かくれんぼに飽きたのか、台所に猫様が現れた。
「真っ白じゃん」
小麦粉に突っ込んだのか、三毛猫ではなく白猫へと变化してた。
これはお風呂に入れないとダメかもしれない。
となると……1限は休むしかない。
「お風呂入ろっか?」
「にゃ~」
可愛い奴め。
もうちょっとであらかた拭き終わる。
あとの残りは今日来るはずの母に任せよう。その旨をメッセージで送ると、猫様を捕獲する。
「逃げないのか」
猫様は鳴き声を出すが、あばれたりしない。
もしかして、お風呂に入りたかったから、いたずらしたのだろうか?
他の猫は嫌がるというのに、うちの猫様はなんて可愛いのだろう。
お風呂に入り、すっきりした様子の猫様にはおやつ抜きのご飯をあげた。
不満げな鳴き声を出したが、少し反省してもらわなければならない。
やすい小麦とはいっても、塊がなくなれば、必要なときに使えない。確かに買い置きはあるが、それでもまるまる使えなくするというのは悪意の塊でしかない。
「いいこだねぇ」
でも、甘やかしてしまう。可愛い子だからしかたない。
未だに母が苦手意識を持ってるが、家族の一員なのだから、愛してあげてほしい。
「じゃぁいくからね」
玄関に向かうと猫様はついてくる。
お見送りをいつもしてもらってるのだ。
「にゃ~」
キレイにお座りをして、こちらを見てくる。その頭を撫でて、駅へと向かった。
猫様の遊戯 バブみ道日丿宮組 @hinomiyariri
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