時の魔王の復讐譚
香屋ユウリ
プロローグ
プロローグ
「や、やめろ!悪かった、俺が悪かった!」
雨が地面に叩きつくように降っている。
「な、何でもする!だから、許してくれ!」
「許すだと?許せるわけがないだろう。俺の大切な人を奪い、仲間まで奪い、そこまで地獄を味合わせた挙句言葉ひとつで許せだと?………お前は勇者なんかじゃない、殺人快楽狂だ」
「ひいいい!嫌だ、死にたくない!」
勇者は泣き叫び、這いずって逃げようとする。だが、逃げ切れるわけが無い。俺は勇者に向かって魔法を放つ。
「
勇者の手元に黒い空間が生み出され、1部の空間を消滅させる。
「がぁぁぁぁぁぁぁ!!手が!手がァァァァァァァ!!!???」
「村のみんなを………俺の大切な人を奪われた痛みは…苦しみは………こんなものじゃない」
だが、俺の言葉は痛みのあまりこいつには聞こえてないようだ。もがき苦しむこいつを見て、ふつふつと怒りが湧き出してくる。
「
顔、腕、足、腰……と身体のあらゆる部位を削り取る。
「…………」
既に死んでいた。こいつが完全に消えるまで、俺は魔法を出し続けた。みんなの苦しみは、こんなものじゃないと思い知らせるために。
「はぁ……はぁ……はぁ……」
完全に消えた。完全に殺した。けど、それでみんなが生き返る訳では無い。死んだ人間は、戻らない。
だが、たった一つだけ方法がある。俺にしかできない、たった一つの方法。
みんなが死ぬ前に戻ればいいのだ。「時空」を、超えればいいのだ。そして、過去を変える。過去の自分には、あんな思いはして欲しくない。もうこの世界で起こったことは変えられない。だが、………せめて過去の自分だけは、救いたい。
「力を貸してほしい、魔王」
俺の中には現世に存在する魔王から貰った力が宿っている。それらを全て組み合わせれば、時空を超えることは容易い。
『本当にやるのかい?』
「ああ」
『時空を超えれば、記憶が無くなるやもしれんのじゃぞ?』
「それでも、やらないと」
『俺たちは皆、お前の覚悟は知っている。だから、やらせればいいさ』
『よし。……さぁ、呪文を唱えて』
俺は神経を集中させる。
「
魔王をこの身に宿しているからこそ、この魔法を発動できる。それに加え、全ての魔王の力を均等に、かつ全力で放出する。
全ての魔王の力が現世に具現化したことにより、俺は禍々しい姿へと変化する。
周囲が急激な魔力変化に耐えきれず、空間に次元の「歪み」が出現した。
『『『『さぁ、行け!』』』』
俺は時空の「歪み」へと入り込む。
俺が皆を守るのだ。
あの悲劇を2度と、繰り返さないために。
♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢
〜投稿者より~
「魔王の力を受け継いだ俺。クソな性格の勇者を討伐する」をお読みいただきありがとうございます!
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今後とも温かい目で読んで貰えれば何よりです
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