四月二十六日

私は覚えが悪いので、名前が覚えられない。

だから、大抵あだ名をつけたりする。

例えば、ソロは一人でいるのが好きだからソロだし、メヂカラは目力が強いからメヂカラだし、尾車美緒は私があだ名で呼んだのをそのまま当て字にして、名乗るようになった。


私が唯一あだ名をつけなかったのは、○○○○ちゃんだ。

もう名前も思い出せないくらい昔のことだ。

その子は、なんんだか希薄というか、空気というか、掴みどころのないような人だった。


存在感が薄いだけなら、別にあだ名に困ることはない。

幽霊とでもつければいい。

○○○○ちゃんは、積極的な部分もあったし、かと思えば照屋さんだったり。


私から見てもよくわからない子だった。

かといって、不思議ちゃんといった感じでもないのだ。


結局その子は卒業する前に転校してしまったが、今頃元気にしているのだろうか。

ななしちゃん。いや、名前を憶えていないのはきっと私だけな気がする。

なんとなく、どことなく。


明日は雨が降るらしい。

この間、不審者を撃退したときに傘をお釈迦にしてしまったため、またかわいい傘を購入しなくては。

それまでは、ビニール傘でしのごう。

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