四月二十一日

歩けば、歩くほどに、この世界がどれほど広くて、自分の中の世界がどれほど矮小か知ることになった。

私は孤独図書館に入り込んで、ただただ今日は一人の時間をむさぼっていた。


一人の時間が増えると、趣味が増える。

無趣味だという人は、一度孤独を感じてみては?というのが私からの提案である。

孤独図書館には、孤独を埋めるための本と、たくさんの孤独がある。


孤独は様々な形をしている。

大人数といるからこそ存在する孤独、誰も周りにいないという孤独、友達はいるけど理解者がいないことによる孤独。

みんな一様の黒い靄に見えるが、それぞれ特有の形を有している。


私も周りから見れば、あの靄のような姿をしているのかもしれないが、本当のところはよくわからない。

時にその孤独に触れてみたりすると、じんわりと暖かかったり、凍えるほど冷たかったりする。


司書さんは恥ずかしがりやらしく、一度も姿を見たことはない。

声は常に上ずっていてどもり気味だから、少々聞き取りにくい。

いつもいつの間にか貸し借りの手続きが終わっている。変なひとだ。


孤独図書館をでた後は、すこし体が軽くなるような感覚がある。

私は『ふとした孤独に酔いしれて』と『人間辞表届』を借りた。

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