四月十八日
口に含んでいたのが、飴玉ではなく、B玉だったなんてことはよくある話だ。
もうすぐ、夏のやつもこちらに歩み寄ってくる。
サイダーやラムネ、アイスなんかもにこにこしながら手招きをしてくる。
川に入ろうと思った。夏になったら、川に入ろうと。
冬になったらコタツに潜るように、夏になったら水中に潜る。
なるべく浅い川にしよう。溺れてしまわないようにね。
ちゃんと水着も着よう。もう子供ではないのだから。
夏にはたくさんのロマンがあるが、それは大人になるにつれて失われて行ってしまっているように思う。
夏休みは長期休暇に名前を変えて、ただ長い休日になり果ててしまっている。
夏にある長い休みというのは、本来冒険のためにあるはずのものだ。
普段の道を注意深く観察し、そこに何があるのかをよく目を凝らす。
小さくうごめくのは、大抵B玉にすらなれなかったC玉だった。
ちいさな破片が、太陽光に照らされて縦横無尽に乱反射している。
荒ければ荒いほど、その輝きは美しさを増していく。
それはまるで人間のように、人生のように。
気温が高くなってきたので、夏のことを思い返していた。
夏が来るまでに、予習を済ませておかないと、あっという間にそいつは私たちの前を通り過ぎていくのだ。
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