四月十四日
今日も今日とて、日記を書く。
それはそれは厳かに、大胆に、恥ずかしげもなく日記を書き留める。
ハマチと遊んでいた。
というのも、今日は講義が午後からだったので、午前中は暇だったのだ。
ハマチが泳ぐ水槽に私の手を付けると、ひんやりとして心地よかった。
最近、少し気温が高くなって、嫌に汗をぐっちょりとかく。
そのせいで服が張り付いて気持ちが悪い。
いっそのこと飛び込んでしまおう。そう思って、私は水槽の中に飛び込んだ。
ハマチは私の方を向いている。
「おい。この水槽は狭いんだから、あんまりはしゃぐなよ」
ハマチは私にそう忠告する。
ハマチは私のペットでもあり、恋人でもある。
ハマチは生意気だし、わがままだけど、それも彼らしさだなぁと思う。
水槽の内側から見る景色は緩やかに歪んでいて、水中の世界は機械の動作音以外は特に何も聞こえなかった。
体が、いつもよりも軽い。まるでマシュマロになったみたいだなと思った。
「ぷふぁ!」
私は水槽から上がるとハマチの頭を少しつついた。
「やめろよ」
彼は嫌そうにしているが、本当は嬉しがっていることを私は知っている。
彼が夜眠るとき、意図的に私よりも後に眠りにつくことも知っている。
彼は天邪鬼だが、なかなかいいやつだということは、おそらく彼を慕う多くの人間が知っていることだろうと思う。
お風呂に入って、服を着替えると、大学行の猫電車に乗るために家を出た。
「いってらっしゃい」
とハマチが言った。
「行ってきます」
学校で教科書を購入したのだが、いくつかの教科書に間違いがあった。
教科書が、よく似た別の教科書と取り違えていたようだった。
明日、文句を言いに行こう。なぁに、偶にくらいいいだろう。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます