第九章

第212話 ロンダルヴィアの三帝剣



 東の帝国ことロンダルヴィア帝国には、他国にまでその存在が知られている特別有名な三つの国宝がある。

 ロンダルヴィア帝国の武勇の象徴でもあるその三つの国宝は、通称〈三帝剣〉と呼ばれている。

 その名の通り、帝剣と名の付く三つの魔剣のことを指しており、かつてロンダルヴィア帝国にいた人族の巨匠ヴァルカンによって作られた魔導武具マジックウェポンで、その中でも最高傑作と名高い。

 その使い手を決める基本的な方法は、帝国中から集められた剣技や戦闘に秀でた猛者達による血生臭いトーナメント戦だ。

 そのトーナメントの優勝者が、使い手のいない三帝剣の次の使い手に皇帝によって任命され所有権を得るのだが、この三帝剣を継承する方法は他にも存在する。



『ーーさぁ、両者共に準備はよろしいでしょうか!』



 マイク型魔導具マジックアイテム越しの審判の声が鳴り響いている場所は、帝都ロンムスにある巨大な闘技場の中。

 その中央リングの上にてランスロットの向かい側に立っているのは、この国の第三皇子エルキス・ラト・ロンダルヴィア。

 自信に溢れた表情を浮かべる優男エルキスの手には、三帝剣の一つ〈災帝剣アドウェルサ〉が握られている。

 第三皇子エルキスは、帝位争いをしている皇子皇女達の中でも三本の指に入る勢力を誇る派閥のトップであり、三帝剣である災帝剣アドウェルサの現所有者だ。

 他の二つの帝剣の内、〈護帝剣ゲニウス〉の現所有者は現ロンダルヴィア皇帝の懐刀であるが、〈戦帝剣プロエリウム〉の現所有者は第二皇子派閥に所属している。

 つまり、派閥のトップであり帝剣の所有者という肩書きが第三皇子派閥の他の派閥には無い特色だと言えるだろう。


 そんな帝剣だが、この帝剣の使用を正式に認められるためには二つの方法がある。

 一つはトーナメント戦だが、もう一つは現所有者と公の場で一対一の決闘で勝利して帝剣を勝ち取るという争奪戦だ。

 現帝剣所有者に挑戦するには、皇子皇女からの推薦を受けて現皇帝が承諾するなどの幾つかの条件があるのだが、その条件の中に現帝剣所有者の承諾の有無は存在しない。

 加えて、第三皇子には挑戦を拒否することができないだけでなく、この帝剣争奪戦においては身分に関係なく互いの生死は不問。

 そのため、たとえ帝位候補者の一人であろうとも、帝剣所有者である限りは命を賭けなければならないという大きなリスクがあるわけだ。


 有力な帝位候補者を正々堂々と退場させられる上に、帝剣所有者という権威まで手に入り、アナスタシアの派閥の力にもなる一石三鳥なこのチャンスを逃すわけにはいかない。

 アナスタシアに協力することを決めた時から狙ってはいたのだが、当時の第七皇女派は弱小勢力だったため、争奪戦を挑むための幾つかの条件が満たせず叶わなかった。

 だが、潤沢な資金を元手にした第七皇女派の躍進と、一ヶ月半前の北の地でのSランク魔物マグナアヴィスの討伐、並びにその死骸の一部をアナスタシアが皇帝に献上したことによって、今回の争奪戦が遂に受理された。


 

「私はいつでも構いません」


「フッ、僕も構わないよ」



 気障な態度を取るエルキスを冷めた目で見据えつつ、鞘から抜いた魔剣アロンダイトを構える。

 剣帯には、アロンダイトの鞘だけでなく、紅龍剣ルフスフラムが納められた鞘も吊り下げている。

 マグナアヴィスとの戦い以降、多くの人々から噂の真偽を問われていたのとアナスタシアからの薦めもあって、周囲へのアピールも兼ねて今回の決闘では帯剣しておくことにした。

 闘技場の観客席にはファロン龍煌国の諜報部の者もいるようだし、機会があったら使ってみせるつもりだ。



「随分と上の空じゃないか。挑戦したことを後悔しているなら、この場で土下座してその二つの魔剣を僕に献上すれば生かして帰してあげるよ」


「ん? あぁ、申し訳ありません。思っていたよりも観客が多いようなので、どのようにして勝ったら会場が盛り上げられるかを悩んでおりました。第三皇子殿下におかれましては、残り僅かな人生を噛み締められることをオススメしますよ」


「なんだとっ!?」



 エルキスから凄まじい怒りの感情を向けられるが、それを無視して視線を観客席の上部にある観覧用の貴賓室へと向ける。

 皇族用の貴賓室には、アナスタシアをはじめとしたロンダルヴィア帝国の皇子皇女達が揃っている。

 その更に横の貴賓室には、久方ぶりの帝剣争奪戦のためにロンダルヴィア皇帝から招待された外国の者達もいた。

 アークディア帝国のために用意された貴賓室に視線を移すと、そこには現アークディア皇帝ヴィルヘルムの実妹であるレティーツィアと本体リオンの姿があった。

 本体が賢塔国セジウムの黒の魔塔主として招待を受けたのもあって、同じく列席するレティーツィアの護衛をヴィルヘルムから任されたという理由から同じ貴賓室にいる。

 アナスタシアからの情報によると、レンタルスキルなどの発表によってスキルと魔導具の権威であることが知られだした俺と面識を持ちたくて招待したらしい。

 争奪戦後には、レティーツィアも同伴の上でロンダルヴィア皇帝と会うことになっている。

 その際の会話の主導権の獲得とランスロットの立ち位置を補強するために、アナスタシアを通してリオンとランスロットが従兄弟同士という情報を事前に皇帝に伝えてもらっている。

 従兄弟設定による影響と恩恵は今のところないが、この争奪戦の後はそうではないだろうな。

 


『両者の士気は十分過ぎるほどに高まっているようですね! では、これより! 三帝剣が一つ、災帝剣アドウェルサの所有権を賭けた帝剣争奪戦を開始致します! 開始まで、三……二……一……始めぇ!!』



 争奪戦開始を告げる審判の声とともに怒りの形相のエルキスが向かってきた。

 【挑発】はよく効いたようで、なんのフェイントもなく真っ直ぐ突っ込んできている。

 アドウェルサの剣身に破壊的な黒いオーラが宿っている。

 おそらくはアドウェルサの基本能力である【壊災魔刃】だろう。

 伝説レジェンド級である三帝剣よりも等級の劣る武具では、防御力に優れた能力でもない限りは破損は避けられないほどの破壊力を秘めている。

 まぁ、このアロンダイトも伝説級な上に、衣服や肉体だけでなくアロンダイトの剣身すらも蒼い鱗状の魔力障壁で覆う【天鱗纒鎧】の能力がある。

 なので、真正面から余裕をもって【天鱗纒鎧】で強化したアロンダイトで受け止めてやった。



「なっ!? チッ!」



 渾身の一撃をあっさりと防がれたエルキスは、自らのユニークスキルによって基礎レベル以上に上がっている身体能力をもって俺の周囲を駆け回り、無数の斬撃を振るってきた。

 それらの猛攻を、その場から一歩も動かずに片手で握ったアロンダイトで捌いていく。

 死角からの攻撃も腰を捻りながら背後にアロンダイトを回して、振り向かずに防いでいった。

 攻撃を防ぎながらも更に【挑発】すべく、空いたもう一方の手で欠伸で開いた口を覆い隠し、あたかも退屈だという姿を見せつける。

 挑発によって怒気が強まっただけでなく、怒りの中に焦りの色も見え始めたエルキスの攻撃精度が落ちていく。

 正面に戻ってきて大振りに振るわれたアドウェルサをアロンダイトで跳ね上げると、エルキスの腹部に強烈な蹴りを喰らわせた。



「ゴバッ!?」



 大量の血反吐とともに吹き飛んでいくエルキスを見送ると、手先の動きだけでアロンダイトを回転させながらゆっくりと歩いていく。



「能力や装備に実力が伴っていませんね。まさに分不相応の力というやつですか」


「……だったら、これならどうだ!!」



 エルキスの身体からピンク色の魔力の波動が放たれてきた。

 エルキスが持つ帝王権能ロード級ユニークスキル【色欲王キング・オブ・ラスト】の力のようだ。

 自らの勢力の拡大と欲望のために数多の人々ーー主に若い女性ーーを魅了・洗脳・隷属化してきた強力な能力だが、帝位争いを開始して間もない頃に、実父であるロンダルヴィア皇帝を洗脳しようとして返り討ちにあったらしい。

 皇帝は精神干渉を無効化する魔導具を身に付けていた上に、護衛に付いている護帝剣ゲニウスの使い手によって防がれ、エルキスは反撃で両腕を斬り落とされたんだとか。

 その後、腕は元通りに治ったが、エルキスは罰として皇帝から自らと血の繋がった者へのユニークスキルの行使を最高位の魔導契約書ギアス・スクロールで禁じられた。

 この皇帝洗脳未遂事件が起こらず、慎重に能力を使って勢力を拡大させていたら、今頃は帝位争いはエルキスの独走状態だっただろう、と帝国貴族の間では言われている。

 ロンダルヴィア帝国の者達から良くも悪くも評価されている【色欲王】の能力だが、俺にとっては何の効果もない魔力の波動でしかなかった。



「おや、何かしましたか?」


「そんな……くっ、従え! 従え! 従えぇー!?」



 何度も何度も放たれてくる色欲の波動は、通常スキルである耐性系スキルの【精神干渉無効】だけでなく、【色欲王】と同系統のユニークスキル【愛し欲す色堕の聖主アスモデウス】の内包スキル【色堕の君主】の他者からの精神干渉を無効化する能力によって完璧に無効化されている。

 帝王権能級のユニークスキルであるため、通常スキルの【精神干渉無効】の耐性ぐらいは運が良ければ突破できたかもしれないが、仮にそれを突破できても同じランク帯かつ格上の【愛し欲す色堕の聖主】による無効化能力を突破することは不可能だ。

 


「クソッ!!」



 ご自慢のユニークスキルが効かないことが分かったエルキスが、再度アドウェルサを構える。

 その剣身には先ほどと同じ黒いオーラだけでなく、濁った昏い緑色のオーラが追加されていた。

 見覚えのあるオーラの色と【情報賢能ミーミル】で視えるアドウェルサの能力名一覧から推測するに、第二能力【呪災衰戯】だと思われる。

 名称とオーラからして相手に呪詛と弱体化の状態異常を齎すのだろう。

 ユニークスキルが効かないことによる混乱から抜け出したエルキスが斬り掛かってくる。

 平凡な剣術ではあるが、Sランク冒険者相当の身体能力から繰り出される斬撃なので結構重い。

 アドウェルサの能力と合わさればAランク以下の実力では相手にならないだろう。

 逆を言えば、伝説級の武器と帝王権能級のユニークスキルを使っておきながらこの程度だとも言えるのだが。



[経験値が規定値に達しました]

[スキル【呪詛耐性】を習得しました]



 中々強い能力なだけあって、分身体の素の能力値で呪詛攻撃に抵抗していたら耐性スキルが手に入った。

 流石に【破壊完全耐性】と【弱体化完全耐性】がランクアップすることはなかったが、多少は熟練度レベルが上がったので満足だ。



「……これ以上は得られるモノは無さそうですね。終わらせますか」


「ギッ、ギャアアアアーッ!?」



 アロンダイトの第三能力【天賦戦体】を発動させて身体能力を超強化すると、エルキスの感知能力を超える速さで動いてアドウェルサを握る腕を斬り落とした。

 次の瞬間には残りの腕と両足も斬り落とし、四肢欠損状態のエルキスの襟首を掴む。



「人の女に手を出さなければこんな死に方はしなかったでしょうね。ま、自業自得です」


「や、やめーー」



 超強化された身体能力から繰り出される膂力をもってエルキスを空高くへと投擲する。

 闘技場の観客席にいるエルキスに家族や恋人などの女性を奪われ穢された男達の野太い歓声を聞きながら、アロンダイトを鞘に納めて代わりにルフスフラムを抜き放つ。



「出でよーー〈燃え盛る紅煌の龍剣ルフスフラム〉」



 魔剣ルフスフラムの第四能力【炎龍煌誕】の発動権言アクティブ・ワードを唱えると、俺の周りを真紅色の炎が渦巻く。

 渦巻く炎は瞬く間に巨炎へと成り、その形状を固定化させる。

 やがて顕現したのは、その身体が真紅色の炎で構成された炎の龍だ。

 俺を丸呑みできるほどに巨大な紅炎龍は、俺の思念に従って上空を見上げる。



「まぁ、お前が色欲魔だったおかげでリーゼが捕らえられ、俺達が出逢えたのだから、その点だけは感謝しているよ。だから、礼代わりに受け取ってくれ。焼き喰らえ、ルフスフラム」


「GUWOOOOOーーーーッ!!」



 紅炎龍が咆哮を上げながら天に昇っていく。

 闘技場にいる全ての者達の視線が上昇する紅炎龍へと吸い寄せられている内に【戦利品蒐集ハンティング・コレクター】でアドウェルサを【無限宝庫】へと回収する。

 一度回収したアドウェルサを付随していたエルキスの腕ごと【無限宝庫】から取り出すと、その腕を掴んで【強欲神皇マモン】の【発掘自在】を発動し、エルキスの【異空間収納庫アイテムボックス】を強制開放させた。

 以前は死体か生きている本人に直接触れなければアイテムボックスを開けなかったが、【亜空の君主】の【空間権域】によって一部のスキルの空間干渉能力が強化されたことで、生きている者の四肢の一部があれば離れた場所からでもアイテムボックスを開くことができるようになっていた。

 手元に開いたアイテムボックスの黒穴に手を突っ込み、収納空間の中身を全て回収したタイミングで紅炎龍がエルキスを呑み込んだ。



「ーーーーーーッ!?」



 超高温の紅炎に呑まれたエルキスが声にならない悲鳴を上げるが、通過した紅炎龍が身を翻して空中のエルキスに追撃を仕掛けたことで、初撃で焼死体のようになっていた肉体も焼失し、エルキスはこの世から完全に焼滅した。



[ユニークスキル【色欲王】はユニークスキル【愛し欲す色堕の聖主】の下位互換です]

[ユニークスキル【色欲王】は同系統ユニークスキル【愛し欲す色堕の聖主】の熟練度へと自動的に変換されます]

[ユニークスキル【色欲王】の一部効果はユニークスキル【愛し欲す色堕の聖主】の内包スキル【簒奪の色堕アスモダイ】へ追加されました]

 


 ふむ。同系統のユニークスキルを得た場合はこうなることもあるのか。

 前の異世界でも似たようなことはあったが、どうやらこの世界でも同じらしい。

 帝王権能級のユニークスキルを獲得出来るほどキャパシティに余裕はなかったので、【色欲王】が取得することなく直接熟練度に変換されたのは幸いだった。

 【色欲王】の力の一部が【愛し欲す色堕の聖主】に統合されたことで、色欲に耽るほど能力値が増大するようになったようだ。

 つまり、異性とそういうことをするほど能力値が増えるというわけだ。

 損をすることはないが、能力値を上げることがメインになっては相手の女性に失礼なので、その点だけは気をつける必要があるだろう。

 ま、能力値増大はオマケ程度に思っておけばいいか。

 

 加速した思考でそんなことを考えつつ、本体のほうで【幽世の君主】の【君主権限】でエルキスの魂を捕獲し、同じく【幽世の君主】の能力【霊魂吸喰】でエルキスの魂をエネルギーに変換し吸収した。

 エルキスの称号欄に隠し称号の〈転生者〉と〈異界人〉の二つがあるだけあって、魂のエネルギー量は中々のものだ。

 この【霊魂吸喰】で得たエネルギーは、同じく霊魂関連である魂の許容量キャパシティの強化に消費される。

 色欲魔で極悪人な異界転生者が犯した罪を、ただ死ぬだけで帳消しにするのは被害者に申し訳ないので魂も消滅させたほうが良い……という理論武装をした上で能力を行使させてもらった。



[特殊条件〈霊魂捕食〉〈霊魂認識〉などが達成されました]

[スキル【魂喰いソウルイーター】を取得しました]


[特殊条件〈異界転移者討伐〉〈異界転生者討伐〉などが達成されました]

[スキル【異界人フォーリナー殺し】を取得しました]



 取得した新規スキルを確認しながら、手に持ったアドウェルサに魔力を流す。

 アドウェルサの全能力が解放され、そのうちの一つ【吸災解禍】を発動させると、思念で上空を徘徊している紅炎龍に指示を出し、地上にいる俺に向かって突進させた。

 俺の勝利に湧いていた観客達が動揺しているのが分かったが、気にすることなく落ちてくる紅炎龍へとアドウェルサを向ける。

 すると、アドウェルサの剣身が鏡面の如き輝きを放ち、紅炎龍の炎身の全てを剣身へ吸収していった。

 【吸災解禍】は放射系の魔法事象や、紅炎龍のような能力事象を吸収しストックすることができる。

 そして、ストックした事象はいつでも解放し使用することが可能なので、今回吸収した【炎龍煌誕】の紅炎龍も一度だけ使用できるというわけだ。



「ふむ。中々良い能力ですね。審判の方、勝敗は決まったかと思いますが?」


『し、失礼しました! 前所有者の死亡が確認されましたので、帝剣争奪戦の規定に則り、災帝剣アドウェルサの所有権は勝者であるランスロット卿へと移りました!! 此度の帝剣争奪戦はランスロット卿の勝利です!!』



 審判によって俺の勝利とアドウェルサの所有権移譲が改めて宣言され、闘技場全体が観客による万雷の拍手に包まれる。

 貴賓室に視線を向けると、アナスタシアが予定通りの結果に微笑んでいた。

 アナスタシアの様子を確認した後は、すぐ横の最も広く豪奢な貴賓室にて決闘を観覧していたロンダルヴィア皇帝の方へと身体ごと向き直り、アドウェルサを地面に突き立てて最敬礼した。

 中年に差し掛かったロンダルヴィア皇帝も、この決闘の結果に満足しているようで、どことなくアナスタシアと似た笑みを浮かべながら拍手をしている。

 やはり、エルキスが死んだことについては何とも思っていないようだ。

 まぁ、息子とはいえ自分を洗脳しようとしてきた相手だから、親子の情なんてものはとっくの昔に無くなっているのだろう。

 

 さて、これで帝位争いにおけるアナスタシアの帝位継承の暫定順位は第三位か第四位ぐらいにはなっただろう。

 第一位の長子相続派の貴族達と文官達が支持基盤な第一皇子と、第二位の武官や軍部の半数が支持基盤な第二皇子の勢力に然程差はない印象だ。

 災帝剣アドウェルサの使い手としてエルキスよりも圧倒的に格上な姿も見せたので、武官と軍部の残り半分への働きかけもしやすくなったはずだ。

 あとは、第三皇子エルキスの支持基盤だったとある公爵を秘密裏に処分すれば完璧だな。

 配下の貴族から閣下の渾名で呼ばれている公爵が、公爵家の貴賓室から俺を憎々しげに睨み付けてくる。

 取り敢えず、公爵が馬車で街道を移動している時を魔物に襲わせれば俺やアナスタシアが疑われることはないかな?




 

 

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