第54話 不浄を滅する者
◆◇◆◇◆◇
「『
「「ヴァアア……」」
「『不浄退散』」
「「ヴゥゥ……」」
「『不浄退散』」
「「「アアァァ……」」」
足元に展開された魔法陣から白銀色の光が放たれる。
神聖な光に包まれたアンデッド達は浄化され、不浄な肉体が灰へと変わっていく。
元盗賊アジトだと思われる廃墟に到着後、アンデッドの集団を次々と神聖魔法で浄化している。
神聖魔法とは俗称で、【聖光魔法】スキルと神官系ジョブスキルを取得している時に使用できるようになる基本魔法のことであり、
まぁ、聖職者である神官が使いそうな魔法が使える魔法体系と思えばいいだろう。
神聖魔法のように魔法スキルとジョブスキルが紐付いた基本魔法は、その殆どが強力な効果を持っている。
一部の強力な治癒魔法はこの神聖魔法にしか存在せず、自らそういった効果の
『不浄退散』は【聖光魔法】と神官系ジョブスキルを取得してさえいれば低レベルでも使用できる基本魔法だが、その対アンデッド効果の
「『
「ギャアアッ⁉︎」
こっそり逃げ出そうとしていたレイスに向かって神聖属性の魔法の一矢によって滅する。
「『
「ギギ、ギ、ギャッ!」
そのレイスに追従して逃げ出そうとしたゴーストは、リーゼロッテが放った光属性の魔法の矢の連射によって消滅していた。
リーゼロッテは神官系ジョブスキルは取得していないが、【聖光魔法】スキルは持っているので空を飛んで逃げ出そうとするゴーストの処理を任せている。
それ以外では自らに向かってくるアンデッドだけを討伐しており、リーゼロッテの周りには数体分のアンデッドの氷の破片が散らばっていた。
実体があるタイプのアンデッドならば、凍らせて砕けば臭くないし復活もしない。
霊体タイプは今の逃げ出そうとした一団が最後だった。
残りの実体タイプも【勇光聖闘気】で黄金色の聖気を纏った俺に引き寄せられているため、リーゼロッテにアンデッドが向かうことは無いだろう。
単体で接近してきた時は、『不浄退散』を使わずに聖気を纏わせた深緑竜槍で処理していく。
効率的に、そして満遍なく経験を積むにはこの方法が良いからだ。
「もう終わりそうですね」
「そうだな。もっと高位のアンデッドならこう簡単にはいかないんだろうけどな」
「結果は変わらないと思いますけどね」
「まぁな。『不浄退散』っと。これで終わりか?」
残っていたアンデッド全てが一塊に集まったタイミングで『不浄退散』の魔法陣を広めに展開し、全て纏めて浄化することができた。
「ーーマタボウケンシャカ? ワガシモベタチヲ」
「『
「ギャァアアアッ⁉︎」
胸の中央に赤い宝珠を輝かせた黒ローブのアンデッドが、護衛らしき四体のスケルトン種を引き連れて、近くの家屋の屋根上に転移して来たので、つい反射的に纏めて神聖魔法をお見舞いしてしまった。
周りのスケルトン種は『神聖不浄退散』の前では無力だったようだが、黒ローブのアンデッドーー高位の魔法使いが自らアンデッドへと生まれ変わったり、死した後に何らかが原因でアンデッドに変貌してしまった姿である〈
アンデッドを生きていたと表現するのは変な感じだが、上位の神聖魔法を受けてもまだ滅んではいなかった。
神官系ジョブスキルのランクが低いのもあるが、リッチから何かが割れたような音が聞こえたので、おそらく神聖魔法対策を取っていたんだろう。
「オ……オノレ、ヒッ⁉︎」
「じゃあな」
【
[スキル【麻痺爪】を獲得しました]
[スキル【腐蝕爪】を獲得しました]
[スキル【
[スキル【
[スキル【生命看破】を獲得しました]
[スキル【十字斬り】を獲得しました]
[スキル【
[スキル【愚かな正義感】を獲得しました]
[スキル【騎士道精神】を獲得しました]
[スキル【乾坤一擲】を獲得しました]
[スキル【真摯なる信仰】を獲得しました]
[スキル【魔力増強】を獲得しました]
[スキル【魔力波】を獲得しました]
[スキル【魔力弾】を獲得しました]
[スキル【
[スキル【
[スキル【死の威圧】を獲得しました]
[スキル【不浄強化】を獲得しました]
[スキル【魔瘴吸収】を獲得しました]
[スキル【骨加工】を獲得しました]
[スキル【骨結合】を獲得しました]
[スキル【戦略】を獲得しました]
[スキル【
[スキル【氷凍完全耐性】を獲得しました]
[スキル【即死無効】を獲得しました]
[スキル【精神干渉無効】を獲得しました]
[スキル【ドレイン無効】を獲得しました]
[スキル【弱体化完全耐性】を獲得しました]
[スキル【夜の住人】を獲得しました]
[スキル【酸素不要】を獲得しました]
[ジョブスキル【
[ジョブスキル【
[ジョブスキル【
[ジョブスキル【
[ジョブスキル【
[ジョブスキル【
[経験値が規定値に達しました]
[ジョブスキル【
[ジョブスキル【
[保有スキルの
[スキル【暗黒耐性】がスキル【暗黒完全耐性】にランクアップしました]
[ジョブスキル【
[ジョブスキル【
[ジョブスキル【
リッチが身に付けていた
リッチの胸で輝いていた赤い宝珠は、積もった灰の山の中で消滅せずに残っていた。
これまでに集めた情報によると、この赤い宝珠はリッチの討伐証明になるらしいので、コレと遺灰も忘れずに回収してから地上に降りた。
「今のはリッチですか?」
「ああ。たぶんここにいたアンデッドを創り出した奴だろう」
「言動からしてそんな感じでしたね。それにしても、高位のアンデッドを瞬殺ですか……」
「転移してきたのにダラダラ喋ってるのが悪い」
「戦い慣れしてないんでしょうね」
「或いは慢心故にかな。ま、何が目的でアンデッドを増やしていたのか知らないが、これ以上増やすことが出来ないのは確かだ」
【無限宝庫】に回収したアイテム一覧を脳内に表示してみたところ、その中に冒険者プレートが四枚あった。
おそらくあのスケルトン種達は冒険者だったのだろう。
「……冒険者ギルドに着いたら渡しておくか」
「それは、あのスケルトンの物ですか」
「そ。冒険者だったみたいだ」
【
「さて、気を取り直して宝探しといこうか」
「こんな廃墟に宝があるんですか?」
「少なくとも俺のスキルはあの家屋を示している」
食事が終わった喰手の具現化を解除すると、元盗賊アジトの廃墟の中でも多少大きめな平屋へと移動する。
内部は全体的に荒れ果てていたが、部屋の一角だけは綺麗に片付けられていた。
その片付けられた場所の家具を退かしてから床に敷かれた絨毯を剥がすと、地下の床下倉庫へと繋がる扉が見つかった。
中には盗賊達が何処ぞで掠奪してきた金銀財宝が詰め込まれていたので、一つ残らず【無限宝庫】へと収納する。
食後の運動に戦うには食欲が減退しそうな相手だったが、手に入れたスキルとアイテムは個人的に満足のいくモノだった。
とはいえ、気分的にさっさと汗を流したいので転移で野営地へと帰還する。
帰還して早々、リーゼロッテに魔導馬車内の浴室へと連れ込まれた。
どうやら時間短縮のために一緒に入る気らしい。
抵抗するのも面倒になって湯着を着るなら、と許可を出してしまったのだが……早まったかもしれない。
そう思ってしまうほどに湯着有りでも破壊力のある艶姿に、今日一番の危機を感じたため、理性を保つついでにスキルを弄ることにした。
〈怠惰〉の力を手に入れてからというもの、時折何をするにしても面倒臭くなることがある。
例えるなら、強欲と怠惰が肩を組んで、俺を欲望の底なし沼へと後ろから蹴り落とそうとしているイメージだ。
そんな馬鹿げた心象風景を思い浮かべつつ、二人並んで暖かい湯に浸かり、心身の疲れを癒やした。
[スキルを合成します]
[【
[【魔力波】+【魔力弾】=【魔力撃】]
[【
[【
[【説得】+【弁明】+【交渉】+【取引】+【韜晦】+【寄付】+【仲裁】=【百戦錬磨の交渉術】]
[【権謀術数】+【戦術】+【戦略】=【神算鬼謀】]
[【ステータス偽装】+【変装】+ 【証拠隠滅】+【偽装】=【偽装の極み】]
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