記録No.3 姉妹の再会、機体改良再開

「シャロ〜?起きてん…な」

「…ばかディー、勝手に出てった…」


扉を開けた途端、俺の胸に可愛い生き物が突っ込んできた。

とても触り心地のいい頭を撫でようとしたら、


「ディーク、私が先です」


腕が悲鳴をあげた。

というかかなり強めの力で握られた。

淡々とした声の割にとんでもない破壊力である。


「わかった、わかったから、腕離してくれ、ほんと」


痛すぎるのである。

例えるならブラック企業務めの不健康リーマンが足つぼマットに乗った時ほど痛い。

と、シャロがなにかに気づいた。


「…お姉ちゃん?…」

「そうよ、シャロ、こんな奴に引っ付いてないで早くこっちにおいで〜」


声を聞くや否や、バッと音を立ててリズに突っ込んで行った。


「よしよし、いい子ね〜」

「んへ〜…」


ここの姉妹は本当に仲が良く、昔から本当に仲が良かった。

姉妹のじゃれ愛に水を刺したくない俺は、そそくさと格納庫へ向かった。





「…あ、お疲れ様でーす!」


自分の機体の前に来て、下の方を見ると、整備士の方がせっせと部品を移動させていた。


「ん、あぁ、『大尉殿』ですかい」

「やめてくださいよ、まだ19なんですから」

「いえいえ、我々を爆撃から救ってくださった方だぁ、敬意は払わせてもらいやすぜ」


にっ、と笑顔をキメていた。

なんというか、ほんとに頼れる整備士さん達である。


「…とりあえず呼び方は勘弁してくださいよ」

「へへっ、分かりやしたぜ!」


そう言って仕事へ戻って行った。

俺はコクピットに乗り込んで、


「…起動、んでもって異常はなし…」


機体の改造、改良を始めた。

まずオプション装備の案を浮かべているデータチップを開いた。


「…3つしか浮かんでねぇんだよな…」


第1案:近距離戦に特化させた、これ以上にジェットの出力と反応速度を上げ、普段は装備しない量産型機体のブレードを持たせる、ということをしてみようという案だ。

ちなみに、俺やシャロはこうした高性能機を使っているが、成績が中途半端、又はそれ以下の奴らには量産型の機体、決して弱い訳では無いがなんというか微妙な機体を使うようになっている。

続いて第二案:遠距離戦特化のスキャナー仕様だ。

とはいえ…このタイプはあんまり決まっていない、なんせうちには優秀な狙撃手がいるのだ、必要ない気が大いにしている。

最後に第3案:フル装備、以上。

積めるもの全部積め込んだものだ。

余剰スペースに燃料からミサイルから弾薬から…とにかく積め込んだものだ。

と言っても、元がスリムな機体なので、バックパックにブースターを増設したり、2m《メーター》ちょっとの翼部の下にミサイルを追加したりと、大胆な改造はできないのである。

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