魔の森

リヴァシー

第1話

夜が永遠に続く世界の端 その名は魔の森

潜むのは自分の心、その深淵、闇と混沌と美徳が空から森を包み込む。そして夜を創り上げる。


男の名は魔王 その銀髪 艶やかな淡い輝きを放つ森の支配者。


今日も一人、迷い込む人間を心待ちにしてグラスにワインを注ぎ込む。


彼が人間を心待ちにする理由はこうだ。

迷い込んだ人間を魔力に魅せて惑わせて自分の腹の中に収める……というわけではない。

ただ人と話をしたいだけである。心に闇を抱え、森に惹かれたその人の闇を食べ尽くしたい。そしてその人に一時でも幸せに……などという偽善を描いている。その偽善を抱えて、森の中央に鎮座する城と月と今日も夜に揺られる。


そんな城に迷い込んだのは旧神を名乗る少女。その名もニャルラトホテプ。


旧神とは驚いた。しかしその自称はあっているのか?どうやって城に忍び込んだのか?という疑問は横に置き、

その少女は呑気な顔をして、城の一室の天井からふらっと降りて魔王の紅茶を盗み飲み。クッキーをつまみ食い。


何故ここにきたの?

私、一人ぼっちで暇なの

少女はこう答える。一人ぼっちで暇なのは俺だって同じさ。一緒にここで過ごさないか。

一人で城にいるのは退屈なのさ、君さえ良ければメイドになって俺を手伝ってくれやしないか?


魔王がこう口説き、以降ニャルラトホテプはその城に住み着く。


この魔王と森を中央に収め、様々な人間が自分の人生を大きく回転させることになるが……まあその話は長くなるからまた次の機会に。

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魔の森 リヴァシー @Riversey

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