No.11 焔の祠発見です!光るリングに光る魔王様?!

武力の国の統治者であるティターノとの戦闘を終えたアギ―と魔王達。

ティターノがコアと呼ばれる魔王達の力を封じ込めたものをフラマーラに渡す。

それを受け取ったフラマーラは【祠】はないかと彼に尋ねた。


「祠ですか……いえ、我々が知る限りではそのような場所は」

ティターノは部下に聞いてみたが該当する場所はないと答えた。


「ほーん、まあとりあえず行ってみて良いか?」


そして今フラマーラを先頭にアギ―達とティターノは火山地帯にある洞窟へと到達した。洞窟は先ほどの戦闘で、フラマーラの一撃で真っ二つに切られており、中も所処崩落している。


「こんな所に洞窟があったか?」

「はい、ある事は記録されていますが祠のような場所があるとは報告にありません。ただの洞窟で目立ったものは何もなかったかと思いますが」


ティターノは共に連れていた部下に情報をきくが誰も祠の話など聞いたことも無い様子だ。


「ティターノさん達も知らない場所があるって事ですかね?」

「焔の魔王殿が正しいとしたらそうなるでしょうな。勿論統治している国ですので隅々まで捜索などはしておりました。特にここは火山地帯、火山の噴火や有毒なガスなどが発生していると危険ですからその調査もかねて定期的に見回っているのです。ですが部下も言う通り祠の話など一度も」


アギ―はティターノの隣を歩き彼の話をきいていた。


「この先だな、酷くぶっ壊れてるが」


洞窟を進んだ先に大きな壁が崩壊したとみられる場所が現れる。


「なるほど、崩れる前は壁で、そのせいで奥まで入れなかったわけか」


「ん?何か文字が地面に彫られているが、崩壊が激しくてよく読めんな」

テネバイサスとグレイシモンドは周囲を見る。



奥に進むと開けた場所があり、天井部分が完全に崩落し空が見えていた。

そして祠は辛うじてそれと判別できる程度の状態だった。


祠の小さい扉が開いており、そこには小さい立方体が収められていた。


「ん?なんでしょうこれ」

妙にその物体に興味を持ったアギ―。


近づいてみると木で出来た立方体だった。人工的な箱というよりはもともとそういう形の木が存在したかのようにつなぎ目はない。


「キャッ!!」

そっと手を伸ばしてみると箱が開き、中から光が溢れ、アギ―に目掛け飛んで行く。


「アギ―!」

「大丈夫かッ?!」

フラマーラとテネバイサスがアギ―の元に駆け寄る。


「は、はい。びっくりしましたけど大丈夫です。あれ、首飾りが」

アギ―のネックレスが淡く光っている。


「あら、そんなネックレスしてたのね。気付かなかったわ」

そのネックレスに気付いたアウレンデントが尋ねる。


「ああ、これはお母様から貰ったものです、旅のお守りにと。ですがこの輪っかみたいなのはついてなかったはずですが」

ネックレスについたリングに触れると再び強い光を放つ。


「え!また光って!」

眩しさに顔を背けるアギ―。


「ってえええ!皆様も光ってる!!」

顔を向けた先にいた魔王達も光り輝いていた。


「これは!!おい!アギーそこどけ」

フラマーラが前にでて空目掛け手を構える。


腕全体から強烈な勢いで焔が発生し空へと昇って行く


「なんと!」

ティターノはその光景に感嘆した。


「使用できる魔力量が増えたな」

「アギ―ちゃんのネックレスに増えたリングが関係してるみたいね。私達にある封印を解除するものだったのね」

グレイシモンドとアウレンデントも同じ変化が起きたようだ。


「だがまだ完全に開放された訳じゃない」

テネバイサスも腕から闇の煙を発生させてそう言った。


「まだいくつもあるって事でしょうか」

アギ―が首を傾げる。


「恐らくは我ら統治者の各領土にあるのでしょう。知らされていないのも、そもそも知る必要のない情報だったからでしょうな。魔王殿方の封印は解かれる筈のないものですから」

ティターノは魔王達に起きた変化とリングを見てそう言った。



「コアを取り込んでからここの場所が分かったんだが。お前の様子をみるにそれもワタシだから見つけられたってみたいだな」


「となれば統治者からコアを回収し、祠を見つけ我らの力を開放するのが当面やらねばならない事だな」

フラマーラとテネバイサスがこれまでの事を整理してそう話した。


「魔王に速攻しかけてやろうかと思ったけどそうはいかねぇみたいだな」

悔しそうに拳を自身の掌にうちつけるフラマーラ。


「ああ、我々から奪った力の量を考えるに、この世界の魔王はだいぶ蓄えているだろうからな」

グレイシモンドが言う通り、かけられた封印は想像していたものよりも重大なデメリットだという事が今回の戦闘で判明した。




その祠から離れ、城に戻る。


「そう言えばティターノ、少し聞きたい事があったんだが」

「なんでしょうか闇煙の魔王殿」

テネバイサスはティターノに質問をした。


「お前は魔王が現れるよりも前からこの国を統治していた一族なのだろう?これに書いてあったのだ。勝手にみてすまない」

テネバイサスは本を取り出してそう言った。

書庫にあった鍵付きの本だ。


「いいんです、仰る通り我が一族はかつてよりこの国を治めていました。他にも王はいました、魔王が現れた時は立ち向かったと聞いています」


「聞いているとは?」

グレイシモンドが質問する。


「私はその頃はまだ子どもで、あまり当時の記憶がないのです。なので他のものから口伝えで聞いたのみで。王たちは皆、殺されたとも聞きました……」


「魔王が貴様を生かした理由は?巨人族の力を利用する為か」


「恐らくそうでしょう。あと数年でも早く生まれていれば……王たちと共に剣を取れたと言うのに……だが今はこのように兵士を育てるという名目で集めた者達を、殺されないようにするので精一杯。なんとも情けない話だ」


グレイシモンド達にそう言ったティターノは剣を握りしめる。


「そんな!自分を責めないでください!こんなに頑張って国を治めているじゃないですか!もしティターノさんが統治者じゃなければここの人は酷い目にあってたかもしれなかったんですから……」


「ですから、もっと自分を許してあげてください」

アギ―はティターノを見上げそう言った。


「アギ―殿……」

ティターノは改めて肩膝をつき、頭を下げた。




その日は国をあげての宴が開かれた。


「アギ―殿!もてなす筈が料理を振舞って頂けるとは、かたじけない。しかし料理が本当にお上手なのですな!皆驚いております、厨房のものも後で是非レシピなどを教えて欲しいと」


ティターノは盛りけられた料理を持ちながらアギ―に話しかける。

彼が持っているのは大皿だが、彼が持つと取り分けようの小皿にみえてしまう、それを大事そうに持っている彼はどこかおかしく思えてしまう。


アギ―はそんな彼をみてホッとした様子で微笑む。

「良いんですよ、料理するの好きなので!」



「そういえば、ここの兵士さん達は他の地域から来ているのですよね?小さい頃に」

楽しそうに食事をしている兵士たちをみてアギ―はティターノに聞いた。


「そうですね。みなどうしてか昔の記憶が曖昧で、最初はそれに悩む者も時折いますが、仲間と日々切磋琢磨していく事でその悩みもいつしか無くなっているものなのです。自分が皆に与えられる事と言えば戦い方の知識や心構え程度のものですから」


ティターノはそう言って少し遠くを眺めるように話した。


「かーやっと酒だ!おいティターノッ!!呑み比べだッ!!来い!」

そんなティターノに大きなジョッキを両手に持ったフラマーラが絡む。


「むぅ!フラマーラ殿、良いでしょう!受けて立ちますとも!それではアギ―殿!宴を楽しんでくだされ!」

ティターノはそう言ってフラマーラと吞み比べをする為その場を離れた。


こうして賑やかな夜をアギー達は過ごした。

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