No.6 統治者さんの街へ向かって!意外と簡単に入れるものなのですね!
アギ―と四人の魔王が最初の街に到着。
そして今、兵士たちに話を聴いてまわったアギ―が戻ってきた。
彼女は巻かれた紙を抱えていた。
「ただいま戻りました!みなさん親切に教えて下さいました!地図も頂きました!でも交易の記録は無いとのことで」
「十分だ、話を聞かせてくれ」
テネバイサスに言われてアギ―は紙を広げる。少し古いようだが周囲の土地に関して記載されているようだ。
「はい!まずこの街は13番街という所で同じような場所がいくつもあるみたいです。統治者さんはティターノという方で、巨人族というすごく体が大きい一族ですごく強い方みたいです。あ、兵士さんがどこから来たかなんですが皆さんよく覚えてないみたいです。だいぶ前からここにいるみたいで」
「ふむ、まだ物心つく前に連れて来られた、ということか」
アギ―の説明を聞いてグレイシモンドがそう言う。
「で、統治者はこの印がある場所か」
テネバイサスは地図の中央に指を置く。
「そうみたいですね!あ、この地図結構ズレてますね。でも大体地形は覚えたので大丈夫です!」
アギ―の発言にグレイシモンドが疑問に思い尋ねる。
「ん?地形を覚えたとは?」
「私こういうのだけは得意なんです」
「ほう」
興味深そうにするグレイシモンド。
「では今から移動しますか?」
「いや、今夜は休むんだ」
テネバイサスがそう言うとフラマーラが横になる。
「そうだな、急ぐこともねぇ。私がその統治者にあったら速攻でケリつけてやる」
一行は横になる。
「んん、少しせめぇな」
「皆さん背が高いですもんね」
「一番小柄なフラマーラですらアギーより背が高いからな」
「喧嘩か?買うぞこのやろう」
こうして初めての街で夜を過ごした。
翌日、一行は首都に向けて移動を始める。
グレイシモンドは兵士の1人にそう言ってため息をつく。
「なんだ、移動用の乗り物一つないのか、兵士を育成するなら騎馬隊とかも必要だろうに、徹底的にこの街に閉じ込めておきたいようだな」
「まあいい、移動ならこれで行く」
テネバイサスは指先から煙を出す。
煙は風に流されずに一行が乗るのに十分な大きさの円盤状へと形を変えた。
「ふっかふかです!」
煙の上にのったアギ―はその上で飛び跳ねる。
「ダーリンどうしたの?すごく協力的」
「そんなに変か?」
「ふふ、少し珍しいって思ってね」
「そんなことないだろ」
そう答えるテネバイサスをみてアウレンデントは微笑む。
「ふふふ、それじゃあ出発ねー♥」
煙の上に全員が乗ると煙は動き始めた。
「兵士さん、ありがとうございましたー!」
手を振るアギ―の姿みるみる内に小さくなっていく。
「幹部様は不思議な乗り物を使うんだなぁ……」
兵士たちは敬礼しながらその様子を見送った。
進んでいくと気温がどんどん上昇していきアギ―は汗だくになっていた。
溶岩が噴き出る火山も現れる、視覚的にもなんとも暑苦しい場所だ。
「うー、暑いです……」
「ふふふ、こっちいらっしゃい。グレイシーの隣は涼しいわよ」
「なんだその呼び方は、そして我を涼むのに使うな。にしてもなんて気候だ」
皆はグレイシモンドの側に寄っていた。
「なんだお前ら情けねぇな。こんくらいの暑さなんてことねぇだろ。おい、なんでワタシから距離を取るんだ」
またしばらくすると街が見えて来た。
首都だ、壁は溶岩で出来ているのか黒々としており、なんとも禍々しい見た目だ。
「すごいはやかったですね!」
「うむ、半日どころか数刻でついたな」
「ワタシがもっと炎だせたらこれの倍は早くできるのに」
煙から降り、門のへ向かってアギ―は鞄から何かを取り出す。
「門を開けてくださーい!こちら通行紋章でーす!」
先ほどの街で得た、街を行き来するのに必要な紋章。
手のひら大のサイズで金属で出来ていた。
「ようこそお越し下さいました」
紋章を確認した兵士が門を開けてくれた。
一行はそのまま街の中まで進み、大広場にでる。
「無事入れましたね!」
「ああ、そうだな……」
「無事に入れはしたな」
「うふふ、準備運動の時間かしら」
魔王達はアギ―の前に立つ。
「え?皆さんどうされたんですか?」
「ダーリン」
「ああ」
テネバイサスは指先から煙を出して、アギ―を包む。
「フカフカな煙さん再びですか?!」
彼女を後ろにさがらせる。
「侵入者よ!貴様らは既に包囲されている!無駄な抵抗はせず降伏せよ!」
「え?!兵士さん!?うわ!屋根の上にも!」
周囲を見渡すと兵士がこちらに武器を構えていた。
「無駄な抵抗はやめろか、じゃあ」
「そうだな、我々がこれから行うのは」
「無駄じゃないから問題なしね」
「さっさと終わらせるぞ」
4人は別々の方向に跳びだす。
「飛んでるぞ!なんだアイツ!?」
フラマーラは指先から炎を出し、屋根上にいる兵士たちに突撃していく。
「ガハハハッまだまだカスみたいな魔力した出せねぇが、カス以下のテメェ等には十分だよなぁッ?!」
彼女に向けて矢を放つが全く当たらず、次々と屋根上から叩き落とされる兵士たち。
「足が凍った?!どうして」
屋内にいた兵士たちの足場が凍結していた。
「この樽の水、使えるな」
グレイシモンドが大樽を倒して栓を抜く。
「こんな暑苦しい所では喉が乾くだろう?一杯馳走してやろう」
彼は指先から氷のカップを生成し、水を一杯飲む。
そして樽に触れる。
すると勢いよく水が大樽から鉄砲のように放出される。
「うわぁぁぁ!!」
兵士たちは水に飲まれていく。
「ほらほらこっちよぉー」
「クソっ!素早いぞ!」
兵士たちの周りを現れては消えてを繰り返すアウレンデント。
「はーい、みんな仲良く痺れちゃいなさーい」
1人の兵士にチョンっと軽く彼女が振れる。
するとその場いた全員に向かって、電気が引かれた線を通るように走っていく。
口から煙を吐きながら兵士たちは倒れる。
「うーん、こんな感じかしら?」
テネバイサスは煙で敵を捕らえる。
「あまり暴れるな、お前らで散らかすとアイツがまた気を失う」
煙に兵士たちが斬りかかる。
しかし剣はどんどん煙の中に沈み、そして手から腕と沈んでいく。
「なんだこの煙!?体がどんどん沈んで……!」
「そろそろ解放してやるか」
煙を振るうとそこから飲み込まれた兵士たちが勢いよく飛び出す、他の兵士たちを弾きながら飛んでいく。
兵士たちを無力化した魔王達はまた大広場に戻る。
「終わったんですね!そういえば私気絶してないです!」
煙がゆっくりとアギ―を降ろす。
「当たり前だ!戦うたびにお前が気を失うから、ワタシ達が気を使ってやったんだ!!感謝しろ!!」
フラマーラがアギーのこめかみに拳をぐりぐりと押し当てる。
「ひぃーありがとうございますぅ!でも頭グリグリするのやめてくださいぃ」
「じゃれあってないで、先に行くぞ。我々が敵ということがバレている、標的の統治者が逃げ出す可能性もある」
グレイシモンドは先に行き一行もそれについて行く。
目指すは統治者が住まう城だ。
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