一点突破
シヨゥ
第1話
今やるべきことをやっているだけ。それは見方を変えれば行き当たりばったり。
「将来を考えたところでそれが起こるとは限らないし、それで頭使うの馬鹿らしいじゃん」
行き当たりばったりと評価されがちな彼はそう言う。
「そんな不確定なことに頭を使うぐらいならさ、今目の前にあることに全力投球して質を上げるなり、さっさと片づけたりしたほうがマシだろう」
「たしかに」
「そりゃあこれから起こることが心配になるのもわかる。俺も昔は心配性であらゆる事態に備えていたけど、どれもこれも無駄になった。それを繰り返す内に馬鹿馬鹿しくなって、何やっているんだって思うようになって。それからは目の前に以外見ないようにしたんだよな。未来のことなんて今の俺にとって些末事なんだ。今の俺にとっての最優先は目の前のことってことを忘れちゃいけない」
経験に裏打ちされているだけあってその言葉は重い。
「人間マルチタスクはできない。だからこそ一点突破で一つ一つクリアしていくしかないんだ」
そう言って彼は立ち上がる。
「ということでお喋りはここまで。次の作業に移るわ」
そう言葉を残して彼は立ち去っていく。彼は行き当たりばったりというよりは分をわきまえているのだ。そう思い直すのだった。
一点突破 シヨゥ @Shiyoxu
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます