星降る夜に、君を詠う

SeirA

第1話

 ぼくは恋をしている。

 それを自覚したのは、去年の夏休みだ。

 相手はクラス委員長。文化祭の準備で手伝ってもらったってだけ。我ながら安っぽい恋だな、と思うけど、好きになってしまったのだから仕方がない。

 今はちょうど昼休みだ。すでに昼食を終え、教室の端で談笑する彼女を横目に教科書を開いた。

 ……集中は、続かない。

「ねえねえ、そういえば来週だよね」

 後ろの席の話声が耳に入ってきた。

「なにが?」

「えー? アレだよアレ。流星群!」

「……ああ、そういえばそうだね。でも深夜だから起きてられるかな」

 その話を聞いて、ぼくも思い出した。

 なんでも惑星軌道の影響とかで、数年に一度の流星群が見えやすい日。それがちょうど1週間後の金曜日だった。

 流れ星、か……。

 いつもは関心を寄せることのない行事。天体観測の趣味もないし、なにより深夜は寝ているからだ。

 でも、今は少し興味がある。

 人生で初めて「好きな人」とやらができて浮かれているのか、星を見るというだけの行為にロマンを感じている。

 丁度、五限開始のチャイムがなった。

 遅れてぞろぞろと戻ってくる生徒を眺めながら、ぼくは眠気を振り払って教師の言葉に耳を傾けた。




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