汚物スキル浣腸を授かった俺は、蔑まされて産まれた家から追放された~捨てる神あれば拾う神あり。ギルドで女性達にもてはやされた俺は、最強の道を行く。極めたら俺のスキルは、物凄く便利だった~

喰寝丸太

ずぶりと1発目、解放

「父上、スキルを賜りました」

「何っ、スキルが生えたのか。でかした。でスキルは何だ?」

「エネマです。エネマスキルです」


「何だと! 見間違いじゃないのか。もう一度よく見て見ろ」

「はい、もう一度みます。ステータス」


――――――――――――――

名前:クリスター LV 1

年齢:6

魔力:10/10


スキル:エネマ LV 1

――――――――――――――


「エネマです。間違いありません」

「エネマというと浣腸じゃないか。その恥ずかしいスキル名を二度と口に出すな」


「あなた、この子は病死した事にしましょう」

「そうだな。幸い弟がいる。伯爵家は弟に継がせよう」


「良く聞きなさい、クリスター。あなたはこれから離れでひっそりと暮らすのです」

「はい、母上」


 俺はこの日から家族と離れて一人ひっそりと過ごした。

 成人を迎える15歳の日。


「弟のロウタイドも立派に成長した。もはや、もしもの事もないだろう。クリスター、お前をこの家から追放する」

「そんな。父上ぇ」

「父上と呼ぶな! 汚らわしい! 汚物スキル持ちが!」


「役立たずどころか、恥ずかしいスキル持ちの兄さん、さようなら。おっともう家族ではなくなったんだね。さようなら汚物さん」

「ロウタイドぅ」

「僕の名前を呼ぶな」


「こんな子供など記憶から早く消したいわ」

「母上ぇ」

「こんな息子を産んだ覚えはありません」


「連れていけ。必ず辺境行きの馬車に乗せるんだぞ」

「はい」


 父上の護衛に、俺は持ち物も無しで、馬車に乗せられた。

 幸い、親切な人がいて食べ物を恵んでくれたので、目的地には無事に着けた。


 辺境の街の通りで途方に暮れる。

 読み書きぐらいは出来るが、仕事なんかした事がない。

 勉強もだ。

 本は多少読んだが、俺に出来る事などない。

 本当に俺は駄目な奴だ。

 追放されるにふさわしい。


 女の人が目前でうずくまった。


「痛た。痛い苦しい。どうにかして」


 通行人は関わりを恐れて見知らぬふりをしている。

 助けないのか。

 医者を呼ぶとか色々とあるだろう。

 俺ですら病気の時は医者を呼んでもらえた。


「大丈夫か? 医者を呼ぼうか?」

「原因は分かっているの。便秘よ。便秘。酷い便秘なの」

「俺のスキルで助けられるかも。やってみてもいい?」

「早くして、痛くて。痛くて」

「【浣腸!】」


 俺は手を組むと人差し指を二本突き出して叫んだ。

 スキルの使い方は、スキルが芽生えた日に、頭に自動的に入っていた。

 スキルの意味も10歳になる頃には理解できて現在に至ってる。


 女の人からぐぎゅるぐきゅると凄い音がする。


「くぅ。はうん。来る。来る。来るわ。すいませーん、トイレ貸して」


 女の人は目の前の家に駆けこんだ。

 しばらくして、すっきりした顔で女の人は現れた。


「君、凄いね。今まで色んな薬を試したのよ。でも効果が無かった。天才よ。素晴らしいスキルだわ」

「俺っ、俺っ」


 涙が溢れた。

 汚物スキルと言われて虐げられた俺が素晴らしいなんて。

 生きてて良かった。


「確かにおおっぴらに、言えるようなスキルじゃないのは、分かっているけど。泣くほどなの」

「初めて褒められたんだ」


「君、私の専属にならない。毎日スキルを使ってもらいたいの」

「もし、出来る事なら、悩んでいる人全てにスキルを使ってあげたい」

「そう。私はオペラッティ。何かあればギルドに伝言を寄越して」

「俺はクリスター」


「あなた、ギルドに登録しなさい。絶対よ。毎日、指名依頼を出させてもらうわ」

「はい」

「それとこれは少ないけど気持ち。じゃね」


 小袋を渡してオペラッティは去って行った。

 小袋には金貨が2枚入っていた。

 お金の価値は朧気に知っている。

 6歳の時に街に出て買い物をしたからな。


 それにしても、俺にも出来る事があるんだ。

 よし、頑張ろう。

 俺はギルドを目指した。

 ギルドは大通りの目立つ場所にあったからすぐに分かった。

 中に入ると、注目された。

 カウンターがあり人が話していて取引しているようだったから、その列に並ぶ。

 いくらか待たされて俺の番がきた。


「初めて見る顔ね」

「オペラッティさんに登録するように勧められたんだ」

「あの大魔法使いが。期待の新人ってわけ」

「そんな事ないよ。汚物スキルが一つ使えるだけ」

「またまた、ご謙遜を。じゃ用紙に書いて」


 俺は登録用紙にスキルなどの情報を書き込んだ。


「出来たよ」

「これは確かに大っぴらに出来ないスキルね。でも悩んでいる人にとっては福音ね」

「そう言って貰えると嬉しいよ」

「ランクはFランクからだから、頑張りなさい」


 俺はカードを受け取ってギルドを出た。

 よし、泊まる所を探そう。

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