第43話 翌日王太子殿下とお出かけしたことがバレて悪役令嬢の襲撃を受けました
そして休日明け。私は寝不足のまま学園に行った。
そして当然のごとく凄く寝不足で、授業で爆睡してしまい、先生におもいっきり後頭部を叩かれてしまった。うーん、辛い。
そして私の楽しみにしていた昼食の時間がやって来た。席について食事をしようとした時だ。
突然、悪役令嬢軍団が大挙してやって来たのだ。
どこに行くのかな?、と他人事だった私は彼女らが私目指してやってくるのを見て驚いた!
「そこの眼鏡さん!」
悪役令嬢のコンスタンスが口火を切った。
相も変わらず私の名前は覚えてくれていないみたいだ。私は目の前のシチューに目がいってしまった。名前言えないんだから、無視して食べて良いよね?
「頂きまーす」
私はシチューを口に入れた。
「美味しい!」
満面の笑みを浮かべて私は食べた。
それを悪役令嬢一同はじめクラスの面々も唖然として見ていた。
「さすが眼鏡怪獣エレゴン。悪役令嬢の攻撃にびくともせずにご飯食べてるぜ」
あれはピーターの声だ。絶対に。私はじろりと彼の方を睨んだ。
「ちょっとあんた!コンスタンス様が呼んでいらっしゃるのに、何を無視しているの!」
取り巻きの一人が叫んだ。
「はい?私呼ばれていませんけど!」
イケシャアシャアと私は答えた。
「な、何ですって!」
「だって私の名前呼ばれていませんから」
「な、名前ですって。名前?」
「えっ、眼鏡さんの名前?」
「そんなのは知りませんわ」
「わ、私も知りません」
悪役令嬢軍団は慌てだした。みんなお互いに私の名前を聞き出す。
コイツラ人の名前も知らずに文句を言いにきたのかよ。
私は白い目をして一同を見てやった。
そして、
「じゃあ、誰かに聞いてからもう一度来ていただけますか?」
私は馬鹿らしくなって、そう言うともう一口、シチューを口にした。ホントに美味しい!
「すげえ」
ピーターらは唖然と見ていた。
「あんた、王太子殿下に目を賭けられているからって、そんな態度、私に取って良いと思ってるの!」
コンスタンス侯爵令嬢が私に言ってきた。
「あのう、すいません。人に何か言いに来きたのに話す相手の名前も知らないってありえないと思うんですけど。侯爵家ではそうは思わないのですか?」
私は言ってやった。
「な、何ですって!あんた、ちょっと王太子殿下にカフェに連れていって貰ったからっていい気になっているんじゃないわよ!」
それはさながら爆弾だった。侯爵令嬢の言葉は、皆に陰でブス眼鏡と呼ばれていた私をセンセーションの真っ只中に放り込んでいた。
「うそっ、エレ本当かよ」
「え!エレ王太子殿下にカフェに連れていって貰ったの?」
「ウソ!あり得ない」
皆驚いていた。男性陣はほとんど信じておらず、女性陣はただただ驚いていた。
「な、何ですって!私ですらないのに、なんでこの眼鏡さんが殿下に連れていって貰ってるのよ」
何故かモモンガまでが遠くから飛んできた。
「ついに怪獣エレゴンは王太子殿下まで傘下にいれたぞ」
「ホラホラ俺の言った通りだったろ!」
ピーターが自慢して言う。
「信じられない。この眼鏡でどうやって王太子殿下を引っ掻けたのよ。私ですら無視されたのに!」
もうモモンガはハンカチを噛んで叫んでいた。
「いや、だからちょっと連れて行って貰っただけで」
「連れていって貰ったのなら凄いじゃ無い」
「なんで?」
「あんたの顔ではないわよね」
「やっぱりその毒舌で殿下を虜にしたの?」
「あまりに面白すぎて気に入られたとか」
「あり得ない」
もう食堂中が大騒ぎでコンスタンス達は端に追いやられていた。
「エレの顔で殿下を誘えるのならば私でも可能性はあるわ」
「なに言ってるのよ!あんたより私の方がましよ」
「いや、私の方が」
「絶対に私が」
もう女どももキイキイ煩い。その中には私を貶めるものもあったが、皆の驚きも当然だと思う。私は王太子殿下の妹のおかげで殿下とご一緒できただけなのだ。もうマリアン様様だった。
女どもは私でも大丈夫なら、自分たちでもなんとかなるのではないかと言い出すし、男どもは私がどうやって殿下の目に止まったか、賭けが始まっていた。
コンスタンス令嬢も何か叫んでいるが、皆の声にかき消されていた。
マリアンは笑っているし、もうどうなんのよ。この状況! 食堂の収拾がつかない状況は予鈴が鳴るまで続いたのだった・・・・
この騒ぎのおかげで、シチューのおかわりがもらえなかった。辛い・・・・。
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