第20話 マリアンのお屋敷に連れて行かれました

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そして、次の日の夕方、私はマリアンのお屋敷に行くことになった。

「着ていく服くなんて無い」

と言って抗う私に

「服なんて私の貸すから、とりあえず着の身着のまま来なさい」

そう言って強引に馬車に乗せられたのだ。



「えっ、何このクッション」

馬車はこの前の荷馬車に比べてとても乗り心地は良かった。


「お貴族様の馬車に初めて乗ったけど全然揺れないんだ」

私は感動した。

外を見ると夕闇の迫って街路灯が付き出した町並みも綺麗だ。

「馬車から見ると景色がぜんぜん違うね。あ、マリアン、教会だよ。この教会めちゃくちゃきれい」

私はこれからお屋敷に連行されるという事も忘れてはしゃぎだした。


馬車は貴族の屋敷街に入る。

目の前にはめちゃくちゃ大きい貴族の屋敷が見えた。

塀に囲まれているが、端まで見えない。


「マリアン、このお屋敷めちゃくちゃでかいよ」

「ここが、あんたに文句言ってきたコンスタンス・アインズ侯爵令嬢のお屋敷よ」

「えええ、あの子こんなに大きなお屋敷に住んでいるんだ」

私は驚いた。あの子はこんな大きなお屋敷のご令嬢なのか。そらあ威張りたくもなるわ。

私は納得した。


「マリアンのお屋敷はどれ?」

男爵家だからそこまで大きいとは思わないけど、私の家に比べたら全然違うんだろうな。


「もう少し行ったところよ」

マリアンが言ってくれた。


なんか周りは総理大臣のお屋敷とか公爵様のお屋敷とか有名な人ばかりだ。そんな一角にマリアンのお屋敷はあったのだ。単なる男爵家の屋敷とはなんか違うような気がした。


「ちょっと小さいかもしれないけれど」

「何言っているのよ。大邸宅じゃない」


門から屋敷まですぐだったけど、そこそこ庭もある。コンスタンスの屋敷に比べれば小さいかもしれないけれど、2階建ての結構部屋数もありそうな屋敷だった。


「お嬢様おかえりなさい」

入り口でメイド頭のような人が迎えてくれた。


「ナタリーただいま。彼女が友達のエレイン・ワイルダーよ」

「いらっしゃいませ。エレイン様」

「止めてくださいよ。ナタリーさん。私平民なんですから」

「そうは申されてもお嬢様のお友達の方ですから」

私の戸惑いにナタリーさんも戸惑っている。

「まあ、そのへんは適当にやって。部屋の用意はできている?」

「はい。ご用意出来ております」

「じゃあ私が案内するわ。エレ、こっちよ」

マリアンが先頭に立って屋敷を案内してくれる


屋敷の入ったところはホールになっていて天井は高かった。


そのまま階段を登る。


なんか色んな絵とかがかけられていた。見た目にはわからないが有名な画家の絵だろうか。


「あっ」

私はその中できれいな女の人の絵に目がいった。


「あれ、どこかマリアンに似ている」

「そう、亡くなった母の絵なの」

「マリアンもお母さんいないんだ」

「6年前に病気で亡くなったわ」

「そうなんだ。きれいな人だったんだね」

「そうね。母が亡くなってからナタリーが親代わりに育ててくれたの」

マリアンが後ろに控えていたナタリーを見て言った。


「そうなんだ。でも、男爵様は?。お父様なんでしょ」

私は尋ねた。


とんでもない放蕩親父で愛人の家に入り浸っているとか。


「父のことはおいおい教えるわ。それよりもここがあなたの部屋」

マリアンが扉を開けて中に入れてくれた。


結構広い部屋だった。

「うそ、こんないい部屋良いのに。私は従業員部屋で十分よ」

大きなダブルベッドに机とか応接セットとかもある。


「何言っているのよ。あなたは私の側近第一号なんだから、こんな部屋当然よ。こちらがお風呂ね」

案内されたお風呂も広い。本当にこんな豪勢な部屋遣わしてもらって良いのだろうか。私は不安になってきた。


「とりあえず、お風呂に入って。服はメイドが持ってくると思うからそれ適当に着て、1時間後に食事だから食事しながら色々お話しましょう。私の部屋はあんたの前だからなんかあったら聞きに来て」

そう言うとマリアンは出ていった。


私はとりあえず、お風呂を使わせてもらうことにした。


お風呂は広々していて久しぶりに一人でのんびり入った。皆でワイワイ入るのもいいが、こういうのもたまにはいいのかもしれない。


そう思ってのんびりしていたら、お風呂で寝落ちしてしまって後少しで溺れてしまうところだった・・・・


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次話でマリアンの正体がエレにバレます。

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