第12話 水魔術の実技の授業で思わずやってしまいました
魔法実技は翌日の2時間目にあった。
私はベッキーらと一緒に運動場に行った。
私は水魔法は初めてなので、ドキドキしていた。
「じゃあ皆さん。まず少しでいいので水を出してみましょう」
水魔法の先生メイプル先生が言った。見た目がカバそっくりだ。
私は思わず先生の顔を二度見してしまった。
すぐ後ろでピーターとマリアンが吹き出す。
嘘ーーー
また声が漏れていた・・・・
メイプル先生のニックネームがカバに決まった瞬間だった。
先生には聞こえていなかったので先生はそのまま続けていた。私の心の声は私の周りの10人くらいに聞こえていただけだった。
私はいつの間にか先生にあだ名つける係になってしまったんだけど、なんか解せない。
「ウォーター」
先生はそう唱えて小さな水の塊をだした。
「凄い」
私は思わず拍手した。
「何拍手しているんですか、あなた方もこれくらい直ぐにできますよ」
そう先生は謙遜したが、先生が喜んでいるのは明白だった。
この先生にはお世辞が効く。私は即座にそう思った。
これでテストも完璧・・・・
そう思ったときだ、マリアンとピーターが白い目で見ているのに気づいた。
「あんた、実技でヨイショもくそもないでしょ」
呆れてマリアンに注意された。
しまった。また心の声が漏れていた・・・・
「では皆さん、やってください」
先生が指示した。
「ウォーター」
早速皆始める。
マリアンは早速先生と同じくらいの水の塊を出していた。
「凄い」
私は拍手した。
「エレもやってみれば」
マリアンに言われてわたしもやってみた。
「ウォーター」
でも、全く何も出てこない。
「ウォーター」
両手を前に出していってみる。
びくともしない。
「ウォーター」
今度は両手を広げてやってみた。
何も起こらない。
「ウォーター!」
「ウォーターよ」
「いい加減にいでよ、ウォーター」
色んなポーズでやってみたが、全くだった。
「はい、出来ない人は水の塊を思い浮かべてやってみてください」
「ウォーター」
カバ先生の言う通りやってみた。
後少しで出来そうだが、うまくいかない。
色々やってみたが、出来なかったて。
いつの間にか出来ないのは私だけになってしまった。
周りのみんなは何回も水を出している。量はまちまちだったが。
「おかしいですね。ワイルダーさんはナイトリーさんと同じくらい水色に光ったのに」
カバ先生が不審に思って私の横に来た。
「はいっ、やってみて」
「ウォーター」
私はやってみたが、うまくいかない。
やはり聖魔術を誤魔化したのがいけなかったのかもしれない。あの水晶がごまかせれたのが不思議だったが・・・・。現実は甘くない。
最後の一人になるとさすがの私も焦りだした。
「ウォーター」
何度もやるがうまくいかない。
「ワイルダーさん。今まで魔術を使ったことはありますか」
「はい」
私は頷く。
「その一番できた時を思い出してください。そのとおりにすれば出来るはずです」
なるほど。私が一番うまく魔術を使えたと思ったときは、魔王を退治した時だ。
ようし、その時のことを思いだそう。
私は瞑想した。
そして、手を上に上げて
「ウォーター!」
と叫んだのだった。
メイプル先生は私の目の前にいてみてくれていた。
そこに私の最大限にした水魔術が発動したのだ。
聖魔法では魔王を地の果てたまで弾き飛ばした。
それを水魔術でやるとどうなるか。
ズドーーーーン
一気に大量の水流が放出されてそれはメイプル先生にもろに直撃、先生を一気に運動場の端まで大量の水とともに吹っ飛ばしたのだった。
周りのみんなは唖然としてみていた。
「すげえええ。エレといれば消防車がいらないね」
ピーターはとんでもないことを言ってくれた。
私についたあだ名が、水鉄砲女ならぬ水大砲女
何じゃーーーーー、それは!
私は切れたが、それ以前に人に向かって水魔術を使ってはいけませんと延々、他の先生に怒られることになった。
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聖魔術でなくてもエレは最強です?
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