44.効果は抜群すぎて
唐突ではあるが騎士団員といえば、訓練や戦闘など身体を動かすことが主であり、やはり血気盛んな者が多い。そんな中でも、冷静沈着なフレッドは珍しい存在であった。そこを見込まれて幹部にまで上り詰めたわけだが。
基本的に感情が低空飛行のフレッドにとって、平静を保つことは何ら難しいことではない。むしろ負けん気や火事場の馬鹿力を発揮できない代わりに、弱点を的確に突いた攻撃が得意だった。
いついかなる時も、一歩引いて冷静に理性的に判断する。それがフレッドという男である。
しかしチェルシーに関してだけは違っていた。それは結婚した今でも変わらない。チェルシーの一挙手一投足に感情が忙しい日々。
可愛い、可愛い妻の姿に、フレッドの理性はいつでも弾け飛ぶ準備をしている。が、それでもやはり持ち前の冷静さが理性を助け、すぐに我に返っていた。
しかし今、フレッドは余計なことを一切考えられないでいた。本能が赴くまま、目の前の布に無遠慮に触れる。いつもであればチェルシーにまず伺ってから行動に移すのだが、完全に無意識だった。
両手の指先をスリットの横に置き、左右に広げる。
「あっ……そんな」
微かな水音を立てて、しっとりと蜜で待ち遠しそうに濡れた細部が明らかになる。広げるのを左手に任せて、右手でそっと中心を縦になぞった。
「ん……っぅ!」
突然直に指先が触れて、チェルシーの腰が跳ねた。肌に感じる布の感触が、どうも着衣のままであることを感じさせて妙な気分になる。
(うう、恥ずかしい……)
それよりも羞恥のあまりに直視はできないが、フレッドの視線がひたすらにスリットへと注がれているのが分かる。けれどいつもの冷静さを欠いたフレッドの様子に、仕立てて良かったとも思う。凝視されていて、あまりにも恥ずかしすぎるけれど望んでいたことだから。
少しフレッドの様子がいつもと違う気がするものの、そこから得られる快感を知っているだけに、来るべき刺激に気が気でなくなっていた。
フレッドの指先は、チェルシーの良いところを知り尽くしている。縦に往復して滑りを纏った指は、秘裂の先端にある蕾を捉えた。絶妙な力加減で引っ掻くようにして、刺激を与えてくる。刺激に身を捩ろうとしたチェルシーだが、足の付け根を抑えられて叶わず、僅かに上半身を動かせただけ。
「あっ、や……!そこ……っ」
目の前のじわじわと蜜が滲み出る秘部。フレッドは自身の指がそこに触れている様子に、ゴクリと唾を飲み込んだ。
顔を近づけて舌で舐めとり、ジュッと啜った。遭難した砂漠でオアシスを見つけた旅人のように、花の蜜に吸い寄せられる蝶のように……。
指での刺激で熱を持ち腫れた花芯を、舌が宥めるように撫でまわす。逆効果でしかないけれど。
理性を飛ばしながらも下着への配慮を忘れなかったフレッドは、唾液で汚してしまわぬよう、いつもよりそこを広げていた。そのせいで包皮から顔を出してしまった実を直に舐められて、その強すぎる刺激にチェルシーはひと際高い嬌声を上げた。
「あああっ……!」
藻掻くようにシーツを足で何度も蹴るが、フレッドは気付かないのか止める気配はない。普段はチェルシーの動きに敏感で、もっとして欲しくても止めてしまうことがあるというのに。
「……だ、だめ、だめ」
チェルシーの声すら届いていないようで、指が挿入されて中を擦るように動かされる始末。何も考えられなくなるほどの気持ちよさは、正直恐怖すら覚える。
今日はいつもに増して強引なフレッドであるが、ごくたまに我を忘れてチェルシーを求めてくれることがあった。それが本当は嬉しいなんて恥ずかしいし、はしたないと思われるのではないかと言い出せないでいた。いつもチェルシーに甘すぎるくらい甘いフレッドも大好きだけれど、捕食者のようなフレッドも堪らなく好きだった。
「っ……あああーーっ!」
次第に膨れ上がっていた快感の塊は、剥き出しの実に音を立てて吸い付かれた瞬間に大きく弾けた。
大きくガクガクと震えたあと、ぐったりと身体を弛緩させたチェルシーにいつもであれば、フレッドは優しく労わってくれるのだが。
「ひぅっ……!」
熱い杭が突然打ち込まれて、チェルシーは仰け反って頤を上げた。ビリビリとした快感が全身を走り抜ける。絶頂が鎮まる間もなく、新たな快感を与えられてどうにかなってしまいそうだ。それでもお構いなしに何度も突き上げられてしまえば、気持ちいい、としか考えられなかった。
粘着質な水音に恥ずかしさを覚えている暇もない。
「ああ、チェルシー。チェルシー」
やっと言葉を発したフレッドだが、うわごとのようにチェルシーの名を呼ぶだけ。その声はとびきり甘く、もっと欲しいと強請るようだった。
「フレッド、さま……」
漸くフレッドと視線が合うが、彼の瞳は熱に浮かされていて、その壮絶な色気に下腹部がキュンと甘く疼いた。
「っく、……はぁ」
突然うねるように締め付けられ、フレッドが最奥を突き白濁を放つのと、チェルシーが大きな絶頂の波に攫われたのは同時だった。
脳内が真っ白な状態から徐々に意識が戻ってくる。チェルシーは固く瞳を閉じていたのか、薄っすらと瞼を開けると視界が定まらない。ぼんやりとフレッドのシルエットだけが見えていた。
「……キス、してください」
フレッドが遠くにいるようで、寂しくなったチェルシーは両手を伸ばした。望むまま上体を倒したフレッドと唇が重なった。荒い呼吸のせいで喘ぐように開けた唇の隙間から、舌が差し込まれる。暫く夢中で互いの舌を絡ませ合っていると、再び結合部から甘い刺激を感じ始めた。
ぎゅうぎゅうに抱きしめられて、微かに身動ぐことしか許されなかったし、声を出そうにもフレッドの口内に消えていくだけだった。いつの間にか硬度を取り戻した熱杭は、激しく抜き差しするというよりも、内壁を擦りながら最奥を突くような動きで。
燻っていた火種は簡単に燃え上がり、チェルシーは再びあっという間に達してしまった。しかしフレッドはそうではなかったらしく、動きは一向に止まらない。
漸く離された唇は呼吸を整える間もなく、ずっと剥き出しだった膨らみの先端を吸われ、はくはくと開閉を繰り返すしかできなかった。
それから少ししてチェルシーが大きく息を吸い込んだのは、再び快感の波が押し寄せてきたから。その頃にはいつの間にか吹き出た潮で、びしょ濡れになってしまったランジェリーを構うどころではなかった。チェルシーは元よりこのように使うだろうと思っていたから、汚してしまうことに然程抵抗はなかったけれど、あんなに気を遣ってくれていたフレッドの様子は気になる。しかし言及するほどの余裕はなく、出てくるのは意味のない喘ぎだけだった。
なんとなく、翌日の光景が頭に浮かんだチェルシーだったが、もちろん言葉にはならず。何度も押し寄せる大小さまざまな絶頂にチェルシーが意識を飛ばすのは、それから二回ほど胎内に放たれた後であった。
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