閑話 久しぶりの女子会
グリーク王国は今日も平和だ。
私、エマも二人目の子、長男アーサーの出産を無事に終えて、慌ただしくも穏やかな生活をしております。
「奥様、セレナ様からお手紙が届いております」
「ありがとう、リサ。少し久しぶりよね、セレナも元気かしら?」
封を開ける。久しぶりにお茶会をどうですか?のお誘いだ。わーい!
「他の皆様もご一緒ですか?」
「そうみたい!全員都合が合うかしら?合うといいわ、全員揃うなんて、私の結婚式以来だもの!」
そう、それぞれ忙しく、個別で会う機会は仕事上ではあるものの、お茶会などは久しく出来ていないのだ。
「楽しみよ!」
◇◇◇
開催場所は、エレクト家のタウンハウス。ご無沙汰です。
「セレナ!招待ありがとう!元気だった?皆も!」
「エマ、来てくれてありがとう。元気よ」
セレナが穏やかな笑顔で言う。もう皆も揃っていて、華やかだ。すでにきゃっきゃした雰囲気。
「さて、皆様揃ったところで、始めましょうか!改めまして、ようこそエレクト家へ。久しぶりに全員で集まれて嬉しいわ。忙しい中で招待を受けてくれて、ありがとう」
セレナの挨拶でお茶会スタートだ。
「こちらこそありがとうよ!久しぶりの外出、嬉しいわ」
とは、ローズ。王太子妃は大忙しだ。息抜きできる今日は、かなり嬉しいと思う。
「ふふ、王太子妃は大変そうね?」
「ええ。それなりにね。でもやり甲斐もあるから。……で?セレナ。今日は何の報告かしら?」
ローズがしれっと笑顔爆弾を落とす。
「……やっぱり気付いた?」
「ふふっ、王太子妃だもの。情報は、ね?……それに、私も幼馴染みよ?気にもなるわ」
「ローズ……ありがとう」
二人の会話に、私を含め、他の6人はきょとんとしている。
「……実は、今日は皆に報告があって集まってもらったの。えっと……私、と、トーマスとの結婚が決まったの」
少しの間の後、セレナが俯きがちに話す。
「「「「「「…………………………」」」」」」
トーマス?トーマスとは、あのトーマス?そういえば、あの時やり直し申請をしていたが。
「えーっ、えーっ!とうとう折れたの?セレナ!」
ソフィア。
「意外と忍耐力あったのね、トーマス様」
リーゼ。
「わあ、まだ頑張っていらしたのね!少し羨ましいですわ!」
シャロン。
「先日、仕事でトーマス様とお会いしたのだけれど。やけに浮かれていたのよね。そういうことだったのね~!」
レイチェル。
「確かに浮かれてたわね」
カリン。
一斉に騒ぎ出す。皆、それぞれにまあ、好意的だ。
あれから10年。確かに彼も頑張ったのだろう。何より、セレナが決めたことだ。……文句は、無い。うん、無い。
と、考えていると、ローズに頬をつんつんされる。
「ふふっ、エマは不満そうね?」
楽しそうに言われる。義姉は鋭い。けど、
「不満、なことは無いわ。……ただ、心配なだけ」
「うん」
よしよしされる。自分が母になっても、ローズのよしよしは最強。
「エマ、心配ありがとう」
セレナが言ってくれる。
「ううん、何かごめん。嬉しい気持ちももちろんあるの。セレナが決めたんだもの、トーマス様も努力されたとも思う……」
ああもう、これじゃ、セレナを困らせる!
「うん、大丈夫!もしも万が一、億が一、トーマス様がまた何かしらやらかしたら、私が天誅を下すわ!!」
これで手を打つ!!ちょっと違う気もするけど。
「ちょっと、シャレにならないわよ、聖女様」
カリンが笑いながら言う。
「大丈夫、その時は私も一緒だから」
いい笑顔のローズ。
「ちょっと、王太子妃まで何を言い出すの」
リーゼ。諌めつつ、楽しそうだ。
「これだけ強い味方がいたら、絶対に幸せになれるわ。おめでとう、セレナ」
しれっと纏めるレイチェル。
「ずるい!レイチェルいいとこ取り!」
ソフィア。
「ほんとよ~!でも、いつでも私達がついてるわ、セレナ!」
シャロン。
「「「「「シャロンもずるい~!」」」」」
皆で言って、笑う。そう、結局は。
「「「「「「「幸せにね、セレナ!!」」」」」」」
これだけなのだ。
「みんな……ありがとう、あり……」
涙でぐちゃぐちゃなセレナ。それでも可愛い。
恒例の全員ハグで可愛いセレナを堪能し、その後も楽しくお茶会は続いた。他の皆の近況は、また今度。
それから半年後。
セレナとトーマス様の結婚式が挙行された。
花嫁衣装のセレナを見つめるトーマス様の瞳は、もうデレッデレで(隠そうとはしていた)、決意も窺えた。
うん、ひとまず認める(何様だ)!!
……しでかしたらの天誅、脅しじゃないからね?頼んだよ!!
二人でお幸せに!!
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