第13話 エマとレインボー騎士

「このゲームはタイトル通り、プレイヤーが主人公のエマになり、7人の攻略対象者と青春したり恋をしたりトラウマ解決したり恋をしたりの話だな。対象者は最近騒がしいあの四人と、スラン先生とルース神官だ。あ、あと俺」


説明ざっくりですね、ジークさん。


しかし、先生たちもか…。


「ちなみに、何となく想像できてるだろうが、ナイトってのは騎士団とかのじゃなくて、ナイトな」


「はい、ありがとうございます……」


はい、想像してましたよ。


「…虹色とは?」


「ん?俺たちの髪色。七色だろ?」


「あー…確かに」


「あと、エマの魔力の表現としても虹色だし、キーアイテムのキャンディも虹色だな」


「飴ちゃん……」


「ちょっとエマ、その外見で飴ちゃん止めて(笑)」


「ごめん(笑)」


「ははは、いや続き話すぞ」


すみません。黙ります。


「まあ、エマがどのルートを選んでも、相手の婚約者はもれなく卒業パーティーでの断罪と国外追放だ。エマへの…聖女への嫌がらせで、国家反逆罪。


年上だけど、先生と神官は婚約者はいなくてね。トラウマ絡みをエマが解決して、妹のように見ていたが…ってやつ。一瞬、綺麗に終わりそうだけど、そのトラウマ絡みの令嬢が暴れて、一家諸共に取り潰し」


おおぅ……。


「で、この現実と同じで、エマは12歳で聖女に見出だされ、教会の本殿で教育を受ける」


うん。


「でもゲームだと、光魔法はしっかり使えるものの、マナーはなかなか平民感が抜けずに苦労?して、ほっとけないやらかわいいやらで、高位貴族が落とされて行くと」


「お疲れ様♥️って、キャンディを口に入れてあげたりするのよー」


へぇ…………まあ、疲れた時には甘い物欲しいけど。


「でもエマは違ったわよね、マナーもしっかりしているし、カーテシーも綺麗だし、びっくりしちゃった」


わ、嬉しい♪飴ちゃんも持ち歩いてないしね!


「あれ、この子はもしかして大丈夫なのかな?って思ったけど、王家からの情報で、本殿のルース神官はもうすっかり可愛がってるって言うし、転校初日にスラン先生も気に入ってそうだしで、大丈夫の確信が持てなかったのよね」


「え?ルース神官は、確かに妹のように厳しくも可愛がってくれたけど……先生?」


ローズから、ちらっとまた怖い単語が聞こえたけど、流しながらぼやく。


「スラン先生って、基本、笑わないのよ!てゆーか、表情も少ない」


「あ、初対面の時思った」


確かに思った、ヤンデレ枠かと。


「それが!!職員室から教室までの短時間で!影から聞いた会話のチョイスと涙を堪えての上目遣いは、さすがだなと思って」


とうとう影とか言ってますけど。


「ちょっとごめん、さすがに流せなくなってきた、影とか情報とかついでにちょっと前に出た監視とかって何ですか」


「あら」


ローズがテヘッと首を傾げて誤魔化す。いや、可愛いけれども!!


「ローズ…君は親しい者には油断しすぎだ。いつも注意しているだろう?…エマには説明する予定ではあったが」


「分かってるわよぅ。普段はかなり頑張ってるでしょ?エマには話す予定だったんだし、いいじゃない!」


プクーと頬を膨らませながら、抗議するローズ。


これ、乙ゲーファンは見たいだろうな……


「ハイハイ、ローズがいつも立派な王太子妃になる為に頑張ってくれているのは知ってるよ」


ジークはローズの頭をポンポンしながら言う。


「子ども扱いしてー!」


「してないよ、ローズが可愛いんだから、仕方ないだろ?」


「…っ、っ、もうっ」


真っ赤になるローズ。


うん、可愛い、可愛いけど、私は何を見せられてる……?


監視とかって、夢だったかな?



20秒くらいして、私が遠い目をしている事に気づいたジークが、慌てて立て直す。


「す、すまない、きちんと説明する」


まだ耳に赤みを残しながら、ジークは説明を始めてくれた。

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