第2.27話 共同作業

 家に帰り風呂を洗い終えて、ノートパソコンを開ける。

 放課後に、飛行機の状態異常のプログラムを書いた。次は、メデューサの攻撃を考える。攻撃方法さえ考えれば、動きもそれに合わせて考えればいい。

 まずは、石化攻撃からだ。発動する条件は、一定時間目を合わせることだ。目が合っているかは、メデューサの目と飛行機の高さが一緒かどうかで判定する。まったく同じ高さというのでは範囲が狭すぎるので、メデューサの目のサイズということにして、ほんの少しの誤差を作ろう。そして、目が合っている時間を計り、一定の時間が経てば、飛行機を石化する関数を呼び出す。

 メデューサの目のサイズと、石化するまでの時間の値は、何度かテストプレイして、いい塩梅を見つけないといけない。

 そして、石化攻撃が出来上がると、それに合わせた動きも自ずと見えてくる。

 飛行機と目を合わせるため、飛行機を追いかける形で上下に動くだろう。飛行機と同じスピードだと引き離すことが出来なくなってしまうため、ほんの少し遅くすることも忘れてはいけない。また、飛行機の動きとすぐに合わせられたのでは、解いても解いてもすぐに石化してしまう。とりあえずの対処として、目が合ったら少しだけその場にとどまるようにした。おそらく、常に動いていれば石化することはないだろう。

 基本的な動きは飛行機と目線を合わせるための上下移動でいいだろう。後は登場時だが、そこまで凝ったものも思いつかない。右端から左にスライドさせよう。

 ここで一旦実行してみる。

 羽が生えた蛇が通り過ぎるのを見ながら、メデューサが出てくるのを待つ。羽が生えた蛇の出現が終了するとともに、メデューサが右端から出てくる。ある程度左に進むと、飛行機と目線を合わせるために上に動いた。飛行機を下に進めると、メデューサも下に進む。飛行機を一旦停止させて、目を合わせてみる。まだ石化したということを可視化できていないが、キー操作をしても動いていないことが確認できた。少し経ち石化が解かれて、キー操作で動かせるようになる。

 メデューサの動きと一緒に、飛行機の状態異常も確認することが出来た。それなりに進み、大変満足である。 

 さぁ次はメデューサの毒攻撃を作るぞ、と息巻きたいところだが、そろそろ作業を終えないと、寝る時間が遅くなってしまう。明日と明後日は授業が終わったらそのまま帰るので、その時にやってしまおう。

 風呂と夕食を終え自室に戻る。寝るまで何をしようかと考えると同時に、スマートフォンを手に取る。とはいえ、特に用があったわけではないのですぐに放り投げた。

 電気を付けたままベッドで横たわる。休憩のつもりで目を閉じたのだが、こういう時でも頭を回してしまう。

 そういえば、メデューサの動きについて、秋晴さんと相談していなかった。

 最初に作る定番のゲームだと、シューティングゲームを提案したのは俺である。そのためか、自然と俺がアイデアを出すことになっている。

 順調に進んでいるとは思う。少なくとも、動くものを作りたいという秋晴さんの願いは、叶えられるだろう。ただ、何か得られるものがあるかといえば、それはわからない。俺と秋晴さん、双方が満足できるような物を完成させられるだろうか。

 部屋の電気が鬱陶しい。消すために立つのは面倒くさい。まだ歯磨きをしていない。いつも寝る前にコップ一杯の水を飲んでいるがそれもまだだ。でも、今は目を閉じていたい。先のことばかりを考えてしまうツケを、ここで払うことにした。

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