第1章 孤独との別れ

第1話 20年前

 現実世界の大学で、廻 徹かい・とおるは初めて開発したメイド系アンドロイドのニーナ・バルバレットと執事系アンドロイドのフランシスと一緒にドアを介して異世界の階層国家・ソーグニーの22階の角部屋に引っ越してきた。


 徹は執事とメイドを強制的に充電させて、自分の荷物を新品の家具に仕舞い込んでいった。


 片付けが一段落すると、徹の部屋の玄関からブザーが鳴った。


 徹は慌ててメイドのニーナを起こして、玄関へ向かうよう命じた。


 徹の部屋の前に立っていたのは、隣室の住人だった。


 挨拶に来たらしい。


「ミスター・トオル! お客様をお通ししても宜しいでしょうか?!」


 玄関口からニーナが大声で徹に聞いた。


「良いよ! リビングにご案内して!」

「かしこまりました!」


 リビングのソファーに来客が座ると、徹も向かい側のソファーに座った。


「隣室の住民のロシェットだ。これから宜しく!」

「ミスター・ロシェット、こちらこそ宜しく」

「今から俺たち、友達にならないか?」

「そうだな、ロシェット。僕らは今日から友達だ」


 ローテーブルを挟んで徹とロシェットは談笑している。



 その陰で、ニーナは2人を微笑んで見ていた。



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