第28話 多すぎる敵襲

 おかしい。どう考えてもおかしい。いくらモンスターが活発とはいえ、ここまで俺達を狙ってくることがあるのだろうか。


 「……考えてる暇はないか。バーストモード!」


 俺は魔法を唱え身体能力を上げてハンマーを振り回し突撃する。この数は相当まずい。


 俺はスキル「空気叩き」を連発しモンスターをなぎ倒していく。俺はちらりとビルデの方を見るが、ビルデはしっかりとフェイが守っていた。


 ビルデとフェイはしっかりと俺の反対方向のモンスターを片付けてくれているようで、俺は安心してモンスターを狩れた。


 そこで俺のところに空飛ぶモンスターが現れ、俺は慌ててハンマーをバリアのように振り回す。


 空飛ぶモンスターに俺は相性が悪い。魔法による遠距離攻撃を持たないからだ。


 だが、対抗策がないわけではない。足にスキル「空気叩き」を使用すれば俺も空を飛べる。


 俺はハンマーを加速させ、空飛ぶモンスター達を一体ずつ撃ち落としていく。体力の消耗は激しいが、これならなんとか倒せる。


 「よし、こっちは片付いたぞ! 今そっちに向かう!」


 俺は最後の一体を倒すと、二人の元へと急ぐ。援軍が来ていると厄介だからだ。


 「あ、マグリスさん! そこの巨大なミノタウロスをなんとかしてください! 魔法が効かないんです!」


 「分かった、任せろ!」


 俺にとって巨大なモンスターはカモだ。図体がでかい分、フルに一撃を食らわせられる。


 「ビルデ、力を貸してもらうぜ」


 「はい!」


 俺はビルデの力で身体能力を強化すると、ミノタウロスに思いっきり一撃を叩き込む。するとミノタウロスは一瞬にして遥か彼方へと吹っ飛んでいった。


 「やっと終わったね。なんかあたし達狙われてそうね。あんた達、人に恨まれることした?」


 どうやらにもフェイも違和感に気づいていたらしい。俺達を真剣な目で見つめて質問してきた。


 「ないですよ。強いていうなら悪魔だと言うことでしょうか」


 「あるな。特にビルデ達を悪党から助けた時は恨み買ってるだろうし、元のパーティーの奴らにも恨まれてる」


 「うーん、それだと分からないわね。初日の時から気づくべきだったわ」


 フェイは顎に手を当て考える仕草をする。ビルデはそれを不安そうに見つめていた。


 「こうなったらさっさと街へ逃げましょう。幸い潜伏スキルを使えば着きそうな距離だし」


 「そうだな。そうと決まれば急ぐか」


 こうして俺達はスキル「影泳」を使用し大急ぎでマリンロードへ向かった。

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