第19話 図書館にて
現在、俺達は図書館にて悪魔についての本を探していた。悪魔の脅威について語る本はいくらでもあったが、悪魔の性質について書いてある本はほとんどなかった。
「……予想はできていたが、まあ全然ないな」
「悪魔自体数が少ないからですかね、やっぱり」
ビルデは残念そうな顔をしている。この街の図書館はかなり大きいことで有名なのだが、それでもまだ一つしか見つかっていない。
見つかったそれもフェイの発言と内容がかわらず、あまり役には立たなかった。
朝から調べたというのに、もう既に太陽は沈んでいる。そろそろ閉館時間だ。
「こうなったら今日は諦めるしかなさそうだな」
俺がそう言って帰ろうとした途端、ビルデが俺の肩を叩いてきた。俺が振り返ると、ビルデは一冊古びた本を両手に抱えていた。
「これ、さっき見つけたんですけど開かないんですよ。開けてくれませんか?」
俺はビルデが抱えている本を見る。そこには「悪魔の書」と書かれていた。
「分かった。今開け――っておい!」
俺はビルデから本を受け取ろうとしたが、横から手が伸びてきて本を掠め取られてしまった。
「あんた達、これ悪魔いるよ。ビルデが開けようとしても開かなかったのは、ターゲットじゃなかったから」
フェイはそう言って力尽くで本をこじ開ける。すると本には魔法陣があって、俺達は一瞬で暗闇で包まれた。
「砕けろ闇よ、ホーリーライト!」
フェイが呪文を唱えると、周囲に光が灯り、暗闇が打ち消される。そして目の前に巨大な黒い悪魔が立っていた。
「なんで分かっタ? オレは気配を消していたハズ」
「いや、バレバレよ。そんなんで隠れたつもり?」
いや、全く気づかなかったぞ。フェイはどうやって気づいたんだ!?
俺は突然の悪魔の出現に驚きと恐怖を隠せず、足を震わせていた。間違いなくこの悪魔は俺達とは格が違う。
「フン、調子に乗りやがっテ。お前の魂を奪ってやル!」
「あ、危ない!」
悪魔は叫ぶと同時にフェイへと襲いかかった。俺は慌てて叫ぶが、フェイは涼しい顔をしていた。
「あんたにはこれで十分」
フェイは手から金色の炎を出すと、手を勢いよく悪魔にぶつけた。悪魔は炎の中に吸い込まれていき、姿を現すことはなかった。
「はい、封印完了。マグリス、もうその本読んでいいわよ」
「お、おう」
こいつ、ビルデとは真逆だな。圧倒的な経験がある。この点においてはビルデに勝ち目はないだろう。
「フェイさん凄いですね! あんな怖そうな悪魔を一撃で倒すなんて!」
「褒めても何もでないわよ」
フェイはそう言ってビルデに焼き菓子を渡す。ビルデは嬉しそうに飛び跳ね、焼き菓子をポケットにしまった。
「ありがとう、本当に助かった。あのまま受け取ってたら俺は死んでたかもしれない」
「そうね。でもあんた達が気づかないのも無理はないわ。ビルデ、あんたの超解析でも見つからなかったでしょ?」
「はい……開かなくて確認したんですが、悪魔がいるなんてどこにも……!」
ビルデは悔しそうに声を震わせる。気づかなかったことがとても悔しいのだろう。
「ビルデが気に病むことじゃないわ。あれには解析妨害がされてたの」
「そうだったんですか。でも次からはもっと気をつけます!」
「それがいいわね。ま、これで情報源が二つ手に入ってよかったじゃない」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます