仲間に裏切られた俺、最強ロリ悪魔と契約して新たな旅を始める

第16話 壊滅するアジト

　「あ、いたぞ――」

　「ふんっ！」

　俺は敵が仲間を呼ぶ前にハンマーでぶっ叩く。どうやら敵もこの迷路のような経路のせいで俺達の居場所の特定に時間がかかっているらしい。

　「俺が先頭に立つ。ビルデ、お前はしんがりで警戒しておいてくれ」

　「分かりました」

　こうして俺達はゆっくりと道を進んでいく。先程来た道は覚えている。だからそれを通れば帰れるはずだ。

　しばらく俺達が歩いた後、俺は右手でビルデ達を止める。目の前に大量の敵がいたからだ。

　「ビルデ、一緒にやるぞ。俺が飛び出したら魔法を使ってくれ」

　俺はビルデの耳元に顔を近づけて囁く。この量はビルデの魔法なしでは勝ち目がない。

　俺はスキル「影泳」を使用し、地面に潜り奴らの背後に潜り込む。

　「オラぁ！」

　俺は奴らに思いっきりハンマーを振り、スキル「空気叩き」で衝撃波を発生させる。

　「チェイサーボール！」

　俺が敵を吹き飛ばしたところを、ビルデが魔法で追い打ちをかける。ビルデが使った魔法は敵を自動的に追尾して攻撃していた。

　俺達の連携攻撃を受けた敵達は地面に倒れ込んだ。ちょっと可哀想だが慈悲はない。

　「へぇ。中々やるじゃないか。殺すのが惜しいな」

　突然後ろから声が聞こえたかと思うと、紫髪の男がビルデにナイフを突きつけて立っていた。

　「なっ！」

　「おっと、動くなよ。動いたら――」

　「動いたら、なんですか？」

　ビルデはスキル「影泳」を使用し男の腕からするりと抜けると、逆に杖を男に突きつけた。

　「アイス」

　男の体が一瞬で物理的に凍りつき、戦闘不能になる。俺は苦笑いをして先に進む。

　なんか強キャラ感出してたのに瞬殺だったな。なんだったんだこいつ。

　「おいおい、待ってくれよ。俺は仲間外れかい？」

　「え？」

　俺達が後ろを振り返ると、先程倒したはずの男がむくっと起き上がっていた。

　「いいねその顔。俺こそがここのリーダー、メギドだ。さ、戦闘再開といこうじゃないか」

　メギドはそう言って瞬時にビルデの後ろに回り込むと、ビルデを思いっきり蹴飛ばした。

　「かはっ！」

　ビルデは壁に激突し、青い血を流す。俺はハンマーを振り回してメギドにぶつけて反撃をする。

　メギドの骨が折れる音がして、メギドは倒れた。だがメギドはすぐさま復活して俺に襲いかかった。

　「君は興味ないから死んでいいよ」

　メギドはナイフで俺の首元を狙って攻撃してくる。俺はそれをなんとか避けると、メギドから距離を取る。

　「クソっ、よくもビルデを！　絶対ぶっ潰してやる！　バーストモード！」

　俺は呪文を唱え、身体能力を向上させる。奴の力のカラクリは分からないが、とにかく攻撃しなければ始まらない。

　俺のハンマーが荒ぶり、メギドに何回も襲いかかる。だが、やはりメギドには攻撃が通用していなかった。

　「無駄だよ。君達に俺は倒せない」

　メギドは何回も起き上がり、俺に襲いかかる。俺は様々な向きから攻撃を仕掛け、奴を打ちのめす。

　その時、地面の破片がメギドに当たり、メギドから血が出ていたのを俺は見逃さなかった。

　「どうかな。俺も段々法則が分かってきた。お前、意識外からの攻撃は無効化できないらしいな」

　「チッ、やっぱりバレたか。だがバレたところで――」

　俺はメギドが言い終わる前にハンマーを振る。どんどん速く、正確にメギドに打ち込むために。

　「俺の仲間に手を出してただで済むと思うなよ。絶対にお前は倒す、絶対にだ」

　「ぐ、ぐおぉ……」

　俺はスキルと魔法、ビルデの力を全部使いハンマーを振り回す。メギドは余裕がなくなってきたのか、俺への挑発をやめ逃げに徹していた。

　やがて本当に焦ったのか、メギドは慌てて奥へと逃げて外に出ようとした。そこに俺のハンマーが激突し、とうとうメギドは倒れた。

　「はぁ、ようやく食らったな。これで終わりだ！」

　俺はメギドにもう一発一撃を叩き込み、ノックアウトする。そしてビルデの方へと駆け寄った。

　「大丈夫か、ビルデ？」　　　

　「はい……ちょっと怪我しちゃったけど問題ありません」