第12話 潜入開始
俺達が影泳を使って足跡を辿ること一時間。俺達はようやく悪党のアジトを発見した。
悪党のアジト周辺には森があって、人目につかないようになっている。アジト自体も大きく、付近には罠のようなものも仕掛けられていた。
「うーん、ようやく見つかりましたがフェイさんは見える範囲にいませんね。」
「どうしたもんかね。早く助けたいのは山々だが、これ以上行くと危険なんだよな」
俺は頭を必死に回す。時には賭けも必要だが、それでビルデに危険が及ぶのは避けたい。
「それなら私が一人で見に行きましょうか? 問題なのは多分音をたててバレることですよね?」
「その通りだが、それなら俺も行こう。二人共捕まるのが最悪のシナリオだが、一人で行くよか成功率は高い」
俺はビルデの発言を聞いて決心し、二人で潜入することを決める。彼女がその気なら俺も動かないわけにはいかない。
「分かりました、それではこれからはお互い無言で行きましょう」
俺達は悪党のアジトと思われる建物に侵入すると、フェイと思われる女性を探す。
周りからは男達の話し声が聞こえている。耳をすまして聞いて会話の内容を聞こうとするが、男達の下品な笑い声のせいで上手く聞き取れなかった。
それから俺は地下に続く階段を見つけると、ビルデの手を引き地下に降りていく。
地下は牢屋のようで、見張りが二人奥と手前にいた。そして牢屋の中には何人かの女性が捕まっていた。
誰がフェイさんか分からないな。まあどのみち全員助けるから関係ないな。
俺はビルデに手招きをすると、小声で話しかけた。
「俺は手前の奴をやる。ビルデは奥の奴を魔法で倒してくれ」
「分かりました」
俺達は配置につく。緊張するが、やるしかない。
「今だ!」
俺は叫んだと同時に影泳を解除し、目の前にいる男を背後からハンマーで叩く。
「アイス!」
その隣ではビルデが見張りを魔法で凍らせていた。無事倒してくれたらしい。
「だ、誰だ!」
上から声が聞こえ、ドタバタと足音がする。俺はそれを聞いて、撃退の準備をする。
「バーストモード」
俺は魔法を唱え、自らの身体能力を一時的に超強化する。
「お前ら、なにをしている!」
男達は階段から降りてくると、武器を持って姿を表す。俺は全員いるのを確認すると、ハンマーを勢いよく振り回した。
「ふんっ!」
ハンマーは何もないところに衝突をすると、そこから衝撃波を出現させて男達を吹き飛ばす。
これが俺のスキル、空気叩きだ。このスキルがあるからこそ俺は集団戦に強いのだ。
「ぐはっ!」
男達は全員ノックダウンし、泡を吹いて倒れる。俺はその間に牢屋を破壊し、女性達を解放した。
「よし、もう大丈夫ですよ。今ギルドに連絡して迎えに来てもらいます」
俺は女性達に話しかける。女性達はまだ怯えているようで、声こそ出さなかったものの頷いてくれた。
俺はギルドへの連絡用の紙を用意し必要事項を書くと、紙を宙に放り投げた。
すると紙は一瞬で消えていった。これはもちろん紙にかけられた魔法の効果で、これで連絡が行ったはずだ。
「うーん、マグリスさん。一ついいですか?」
「どうしたビルデ、おかしいことがあるのか?」
「はい。私達が探していたのって足を骨折している人ですよね。でもこの中にいないですよ、そんな人」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます