第9話 クエスト攻略開始
次の日、俺達はギルド本部へと来ていた。そこはとても広く、こまめに清掃されているのか綺麗だった。
「うわぁ、お金かけてそうな場所ですねここ! やっぱり冒険者さんって儲かるんですか?」
「うーん、ピンからキリまでだな。大物は相当金稼いでる。だけど俺みたいな中堅層は普通に働いてる人達と大差ない」
俺は頭をかく。自分で言うのもなんだが、冒険者はやめたほうがいいと思う。死ぬリスクを冒してまでやる職業ではない。
「へー、そうなんですね。てっきし皆もっと稼いでるのかと思ってました」
「まあそう思われるのも無理はないな。それじゃ俺は報酬もらってくるからちょっとそこで待っててくれ」
俺はビルデを席に座らせると、ギルドの受付へと足を運ぶ。そして軽く手続きをして報酬を受け取ると、席に戻った。
「待たせたな。それじゃ行くぞ」
俺は大人しく座っていたビルデを呼ぶと、掲示板を見に行く。ここではクエストや注意事項が載っている。
「うーん、色々なクエストがありますね。あっ! これなんてどうでしょう? 街の外の負傷者の救助ですけど」
「お、どれどれ。ほー、中々良さそうだな。それ受注するか」
俺はビルデに勧められたクエストの詳細を見て、頷いた。これなら初心者のビルデとでもできそうだ。
「あ、それと今行方不明事件が多発してるみたいです。気をつけましょう!」
「そうだな。モンスターか人間か、どっちか分からんが周りには注意しよう」
こうして俺達はクエストを受注し、ギルド職員に連れられ街の外へと向かう。
「今回のクエストは一名の負傷者の保護が目的です。名前はフェイ・ソラリスで、現在洞窟にて救助を待っているようです」
「なるほど。特徴は?」
「長い金髪に緑の目をしています。それと現在足を骨折していて動けないようです」
「分かりました、行ってきます」
こうして俺達は街の外へと出ると、負傷者の保護に動き出した。
「結構遠いな。まあこの辺はモンスターもそこまでいない、気楽に行くぞ」
「はい!」
俺達はひたすら歩き続ける。道中にモンスターはいたが、俺達を恐れてか襲ってこない個体も多かった。
「……なんか順調すぎて逆に怖いですね。地中からいきなりモンスターが奇襲するとかないですよね!?」
「やめろ、現実になりそうだから。それよりここで休憩するぞ」
俺はそう言って近くにあった岩に座る。その上にビルデがちょこんと座ってきた。
「お前、すっかり甘えるのに遠慮しなくなったな。まあこっちも楽しいからいいが」
「えへへ、それほどでも」
「褒めてないぞ」
俺達はそんなくだらない会話をすると、再び歩き始めた。
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