第2話 ダンジョンからの脱出
「うん、お前の力凄いな! これなら一人でも脱出できそうだ」
現在、俺はビルデと共にダンジョンから脱出している最中だった。
ビルデとの契約でパワーアップした俺は、立ち塞がるモンスターを蹴散らしダンジョンの出口へと進んでいく。
「えへへ、ありがとうございます! 精一杯お手伝いさせて頂きますね!」
ビルデは嬉しそうに微笑むと、俺の後を空を飛んでついてくる。本当に悪魔とは思えないほど良い子だ。
「よし、出口だ。本当に助かったよ、ビルデ」
「いえ、これぐらいお安い御用です!」
俺はあっという間にダンジョンから脱出すると、ビルデにお礼を言った。
「一つ聞きたいんだが、悪魔って食事するのか? するなら美味しいものでも一緒に食べようと思うんだが」
「あ、普通に食べますよ。ほら、さっき餓死しそうって言ったじゃないですか」
ビルデはお腹をさすってみせる。そういえば言っていたが、あれ直喩だったのか。契約しなきゃ死ぬってだけなのかと思った。
「そうか、なら早速食いに行こうぜ」
俺はビルデを連れて、ダンジョン近くの街へと向かう。道中でビルデのお腹が何回も鳴っていて、俺は少し足を速めた。
「よし、着いたぞ。ビルデ、もう少しだけ我慢してくれ」
俺は街の料理屋に駆け込むと、急いで料理を注文した。俺もビルデも腹が減ってしかたない。
そして料理が来た途端、俺等は意地汚くガツガツと飯に食らいついた。周りの目が怖かったが、なりふり構ってる場合じゃない。
「はぁ、ようやくまともなご飯にありつけました。マグリスさん、ありがとうございます!」
「はは、お互い様だし礼には及ばないぜ。好きなだけおかわりしてくれ、ビルデは命の恩人だからな」
俺は飯を平らげると、ビルデにおかわりを勧める。すると彼女は目を輝かせて、喜んでおかわりを注文していた。
「それで、お前本当に俺の魂取らなくて大丈夫なのか?」
「あー、あれは保険みたいなものなんですよ。私達悪魔はあれで百年ぐらいは食べ物なしで活動できますから」
「百年!? そうか、人間とは寿命も全然違うもんな」
俺は感心してビルデの話を聞く。おそらく彼女は俺が死んでも当分生き続けるのだろうな。
「そうですね。私とマグリスさんでは生物としての仕組みから違いますから」
「まあそうだろうな。……失礼かもしれないが、お前今何歳なんだ?」
俺はふと気になって聞く。こんな見た目をしているが、実は百歳とかだったりするのかもしれない。
「えっと、三日です!」
「……えぇ!? いや、それ物心がついてからとかじゃなくてか?」
俺はビルデの発言を聞き、一瞬フリーズした。
こいつ今三日って言ったよな? なんで喋れてんだ?
「いえ、違います。悪魔は生まれた時から物心も並の人間の持つ知識もあります。そうでないと生きていけないので」
「そ、そういうもんなのか。なんか不思議だな」
そこで俺達は飯を食べ終えると、料理屋を後にした。結構値段がかかったが、今日ぐらいは奮発するべきだろう。
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