第232話 甘えっ子めーこと風紀委員長の悩み

京太郎自宅にてー。


いつものように勉強と作品作りをしに来ていた芽衣子は、休憩におやつのプリンを食べようとした時…。


「京ちゃん。プリンあーんしてぇ?♡」


「め、めーこ。//もう風邪治ったんじゃないのか?自分で食べれるんじゃないか?」


「えっ。そ、そうだけど、治ったからと言って、急にスキンシップがなくなるのは寂しいよぅ…。」


風邪を引いて京太郎に看病してもらって以来、甘え癖がついてしまった芽衣子。


「あーんしてくれたら、勉強も詩も捗る気がするのぉ…!

あうぅ…。お願い。京ちゃぁん!」


「うっ…!(か、可愛い…!//)わ、分かったよ。あーん。」


手を組み合わせて上目遣いで涙ながらに訴えかけて来るワンコ系幼馴染みに勝てず、ついついプリンをあーんしてしまう京太郎。


「はふっ。あっま〜い♡♡ありがとう、京ちゃん…!」


芽衣子は頬に手を当てて幸せそうな笑顔でプリンの甘さを堪能していた。


(くうっ…。俺の幼馴染み&彼女可愛すぎる…!//このままでは、いかん…!)


ぷるぷるしながら、悶える京太郎。


         *

         *

         *


その翌日、青春高校生徒指導室にてー。


「めーこが可愛過ぎて、つい甘やかしちゃうんです…。///どうしたらいいでしょう…?」


「ふむふむ。矢口少年、それは深刻な問題だな…。」


「そうなんです…。」


神妙な顔で相談者の京太郎に向き合う風紀委員長白瀬柑菜だったが、内心げんなりしていた。


(いや、知るか…!!確かに「最近どうだい?」と話を持ちかけたのは私だったが、よもや、こんなコンデンスミルクのような濃縮された甘さの惚気話を延々と聞かされる羽目になるとは…。||||

口角緩みっぱなしで、幸せオーラ全開で、君、全然悩んでないだろう?)


「委員長、ちょっと…。」


相談の途中で、副委員長の姫華が現れ、柑菜にコソッと耳打ちする。


「あの、氷川さんが「京ちゃんについ甘えてしまうんですが、どうしたらいいでしょう?」という内容の相談に来ているんですが、どうしましょうか?」


「あのなぁっ…。」


額に手を当て、大きなため息をつく柑菜。


(矢口少年と芽衣子嬢には風紀委員も度々世話になってはいるのだが、もう引き継ぎの時期でもあるし、対策を考えねばならんな…。)


✽✽✽✽✽✽✽✽✽✽✽✽✽✽✽✽✽✽✽✽


そして、色々あった文化祭後ー。


風紀委員も代替わりし、風紀委員長に、大山雅、副委員長に小谷潮が就任する事になった。


「あっ。大山先輩、京ちゃんの事でちょっと相談が…!」


「あっ。小谷くん、めーこの事でちょっと相談が…!」


それぞれ、別の場所で、めーこ、京太郎から

相談を受ける雅&潮。


「「うん。任せて?君達の案件は柑菜さんからきちんと引き継ぎされてるから…!」」


「「へっ?!引き継ぎ??」」


雅と潮に言われた事に目をパチクリさせる芽衣子&京太郎。

         *


進路指導室へやって来た芽衣子は、雅達ににこやかに迎えられる。


「氷川さん。相談席に座っててね?もう一人相談者が来るから。」


「もう一人の相談者…?」


「ええ。今回は、同じような悩みを抱える生徒同士で、グループワークをして問題を解決したらどうかと思って。」


「へぇ〜。斬新な試みですね…。(同じような悩みを抱える相談者って…どんな人だろ??)」


雅の説明に感心しつつ、ソワソワと出入り口の方を見遣っていた芽衣子だが…。


ガラッ!


「こんにちは。グループワークタイプの相談に来たんですが…。」


進路指導室に入って来た茶髪の男子生徒を見て、芽衣子は目を剝く。


「京ちゃん?!」

「め、めーこ?!」


「「はい。じゃあ、二人で、相談内容をよく話し合ってね?ごゆっくり〜。」」


「「え、ええ〜っ!💦」」


雅と潮に、言われ、アコーディオンカーテンで仕切られた区域に二人きりにされた京太郎と芽衣子。


「え、ええっと…。//きょきょ、京ちゃん、きょ、今日はいい天気だね…。」

「あ、ああ…。//そ、そうだな。本当にいい天気だ…。」


アセアセしながら、ぎこちなく向かい合う二人の話を漏れ聞いて…。



カーテンの向こうで、風紀委員現執行部と旧執行部がヒソヒソ話をしていた。



「(あの二人、天気の話題始めたわね?昭和の恋愛映画じゃないんだから…。)」


「(まぁ、盛り上がり過ぎて熱烈なラブシーン始まっても困りますけどね…💦私達現行犯で捕まえなきゃいけなくなっちゃうし…。)」


呆れたようにヒソヒソ話をする姫華に、苦笑いをする雅。


「(ふふっ。雅と潮、後学の参考になるのではないか…?)」

「(か、柑菜さん、何言ってるんですかぁっ!//任期終わったからって、気楽に言ってくれちゃってぇ!)」


「(ブフーッ!)//」


いたずらっぽい笑みを浮かべる柑菜に、文句を言う雅。鼻血を吹く潮。


生徒相談室は、相談者も、風紀委員もてんやわんやだったとか…。













*あとがき*


いつも読んで頂きまして、フォローや、応援、評価下さって本当にありがとうございます

m(_ _)m


2/12(月)〜2/18(日)おまけ話 文化祭編 前半部分を毎日投稿させて頂く予定となっています。ご覧下さると有り難いです。


今後ともどうかよろしくお願いします。

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