第55話 悪魔長ルシフェールン
◇◇◇◇◇
遠くにもう一人いるな。
お前もこっちに来い!
(バレちゃったわね。)
気づいてなかったけど、誰か1人がこちらに走って来た。
レベッカさん?
「お前もついでに混ぜてやる。特別だぞ。」
「ええ。末席に加えていただきます。」
レベッカさん。すごく落ち着いてる。
「グランデスピロ!ここはイースだな?」
「はい。」
「そうか。なるほど。それで瘴気吸収か。
これはサランディーテの指示だな?」
「そ、そうですが、天界からの指示によるものでございます。」
「だろうな。リセットする予定のアース。
そこに光の子か。なるほど。」
「ルシフェールン様。なるほどとは?」
「わかった。リセット中止!
俺から言っとくわ。」
「「「「「「「「えー!!」」」」」」」」
「皆まで言うな。リセットの決定をしたのは俺だから、中止の決定も俺。俺って偉いから。」
この悪魔長、軽!
まあ、ラッキーだけど。
「仰せの通りに。」
「だから、ハヤテは瘴気吸収を継続していいぞ。
魔界からの瘴気は止めておくからな。」
「ルシフェールン様!ありがとうございます。
天界にもお伝えしておきます。」
「ん。そうしてくれ!天使長によろしく言っといてくれよ。」
「はい、承知しました。」
「じゃあ、ハヤテ!またな!」
プチュン!
………。
「はぁ。緊張したわ。まさか、悪魔長が来るなんてね。魔界でもなかなか会えないのよ。」
「ビックリしたのは、私の方ですよ。生のルシフェールン様を見られるなんて、考えられないですよ。天界に帰ったら、自慢できますよ。
それで、グランデスピロ!リセット中止って、こんなことよくあるんですか?」
「聞いたことないわね。そもそも、天界がはじめた瘴気吸収も今まで聞いたことないわよ。そうでしょう。サランディーテ。」
「たしかにそう言われればそうですね。
いろいろ、不思議ですね。
それにハヤテのことは知っている口調でしたしね。」
「あ!俺ですか?それはないと思いますけど。」
「そうよね。悪魔長が人間の個人に関係することはないと思うわ。」
「そうですね。それも謎ですね。
まあ、中止ってことなので、ハヤテはこのまま続けてくださいね。よろしくお願いします。」
「ねえ、ハヤテ。摩天宮の周辺は吸っちゃダメよ。残しておきなさいね。わかったわね。
あー、でもこれで昇格は当分保留だわ。」
「私は、これで昇格するかもです。ふふふ。」
「そうね。良かったわね。
私はのんびりしておくわよ。
じゃあ、私は摩天宮に戻るわね。
ハヤテ、よろしくね。」
グランデスピロ様は飛んで帰って行った。
「じゃあ、私も天門宮に戻ります。」
サランディーテ様も飛んで戻って行った。
「なんか、すごかったね。」
「緊張した〜!」
「頭が真っ白になったよ。」
「悪魔長って。」
「そうそう。」
「レベッカさんもいるよ。」
「ハーイ!みんな、かわいい子ばかりね。ハヤテのハーレムかしら?」
「そうでーす!」
「ふふふ。ハヤテ、さっきの話は、戻って伝えてもいいのかしら?」
「はい、レベッカさんにお任せします。」
「そう。ありがとう。
じゃあ、大統領に伝えておくわ。
それと、さらに君に興味が湧いたわ。
これからもよろしくね。
アースに戻ったらデートしましょ!
じゃあ、行くわね。アースで会いましょ。」
レベッカさんも走って何処かに去って行った。
「じゃあ、続きは夜に話するとして、作戦継続しよう!」
「「「「「承知!」」」」」
◇◇◇◇◇
その後10日間、作戦を継続してイースの4分の1程度の範囲に瘴気を押し戻したのを確認した。
たしかに瘴気の流出が止まったのを実感できるくらい、瘴気吸収のスピードは劇的に上がったような気がした。
「みんな!お疲れ様でした。これで一度、天門宮に戻ろうと思います!
じゃあ、ルームに行こうか?」
「はーい!じゃあ、今日は私から!
颯くーん!思いっきり抱きしめて〜!」
「朱美!言い方何とかして!」
「早く〜!」
「わかったよ!」
全員をルームに送ってからゲートで天門宮に!
「サランディーテ様!戻りましたよ。」
「ハヤテ!お疲れ様でした。
瘴気も4分の1まで来ましたね。ありがとうございました。
一度、アースに戻るのですか?」
「はい。また来ますので。」
「了解です。待ってますね。」
「では、行ってきます!」
境界門をくぐって、久しぶりの地球へ。
◇◇◇◇◇
渋谷特別管理局へ立ち寄り、処理をした後、早見さんたちのお迎えで我が家に帰った。
今回も当然、藤堂さん、白石さんも来ています。
「颯ちゃん。経緯はアメリカ合衆国大統領から連絡をもらったわ。ありがとうね。こっちもあれだけ頻発していたスタンピードがぱったり止んでね。
今回の件は、ものすごい貢献よ。
WSFでも安全宣言を出すかの検討を始めているわ。
しかし、天使に悪魔、それに悪魔長が登場する話は驚きを通り越したわよ。
レベッカが情報源だから、信用しないことはないんだけど、それにしてもね。」
「そうですね。俺も驚きました。
結果オーライで助かりましたけど、一時はどうなるかと……。」
「まあ、今回は日本でゆっくり休養できるわね。」
「そうですね。
次は残りの瘴気吸収をして片付けてきます。」
「それなんだけど、次、帰ってきた時には、たぶん安全宣言を出すと思うのよ。その時にね、颯ちゃんのことも公表することになると思うのよ。」
「えー!それは困りますよ!
ダメです!絶対にダメです!」
「そうよね。わかってるんだけどね。
銀ちゃんがねぇ……。
加えてレベッカの推薦もあってね。」
「藤堂さんから何とかしてくださいよ。」
「ふふふ、期待しないでね。」
これは不安だ!
宗方さんかぁ…想像できる。ノリノリなんだろうなぁ。こういうの好きだもんなぁ。
今回はこっちに少し滞在するから、一度会わせてもらおう。
しかし、レベッカさんも何してんねん!
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