第39話 オーストラリア派遣
◇◇◇◇◇
WSF緊急臨時理事会にて、日本合衆国からの提案に異議はなく、すんなり終了。
中国とロシアが、無言であったのは、若干気になるが。
オーストラリア政府は、シドニーに臨時政府を設置したとのことで、まずはそちらにA級探索者6名は、派遣されることとなる。
藤堂大臣は、日本に残る必要があり、派遣団の代表者は白石副大臣。
その日のうちに協会からの物資をストレージに格納し、次の日の早朝にチャーター機にて、シドニーに向かった。
◇◇◇◇◇
「チャーター機なんてすごい!」
「私は、海外旅行も初めてだよ!」
たしかに、そんなお金なかったしね。
パスポートすら持ってない。
「これ、旅行じゃないから!着いたら忙しいから、ちゃんと休んでおいてよ!」
「はーい。でも、ネットで大騒ぎだね!ほら見てみそ!」
「ほんと、すごいね。日本では、心配の声が多いみたい。オーストラリア国民は、歓迎してる様で、そうでもないみたいなこと書いてるよ。」
「え?なんで?」
「私達4人が一番の不安要素だって。しかも、全員が若すぎて信用されてないみたい。」
「大丈夫ですよ。着いたら、私がちゃんと説明しますから。みなさんはいつも通りにお願いしますね。」
「「「「らじゃ!」」」」
そう言われると緊張してきた。
女子は緊張してないのね。強い。
◇◇◇◇◇
シドニーに着くと、オーストラリア駐在大使が迎えてくれて、首相、国防大臣ら首脳陣も歓迎してくれたが、表情を見るとたしかに全員が不安そうな顔をしてた。
国防大臣からの説明で、俺たちは一番魔物の密集しているキャンベラ付近に投下されるらしい。
要するに、ヘリで現地まで行って、そこから飛び降りろってな感じ。
これって、一般的らしいんですけど、作戦がものすごい雑!
国防軍は、魔物が広がるのを抑えるので精一杯なんで、俺たちは中心から討伐するって作戦らしいんだけど、一番やばい役回りです。
白石さんは、国防司令室から俺たちに連絡する役割です。よろしくです!
休む暇も与えてもらえず、いきなりヘリに案内された。
「橘さん!聞こえますか?」
「はい、聞こえます!白石さん、よろしくお願いします!」
このイヤホン、通訳もできるし、優秀やな。
◇◇◇◇◇
バリバリバリバリ!
「ハヤテ!ゴー!」
低空飛行ですけど。やっぱり不安。
最初に俺が飛ぶ!下には魔物の群れが!しかも、全体が真っ黒い集団で覆い尽くされている異常な光景だ。
降り立つと同時に辺りの魔物を一斉討伐開始!よし!全く問題なさそうだ!
A級スタンピードだけあって、魔物個体の大きさが通常種の2倍以上ある。身体は真っ黒で内側から若干だがマグマが見えている様な感じの外見になっている。これは、魔物が
魔物の種類は多種で、総数約4万!
「みんな!ここからは固まって討伐していくから、単独行動禁止でよろしく!移動方向は白石さんの指示に沿って動くよ!」
「「「「「らじゃ!」」」」」
◇◇◇◇◇
その後は、白石さんの指示に従って移動して、ひたすらにルーチンワーク!キリがねえ!
「橘さん!今日の作業は終了します。
迎えのヘリが行きますので、帰還願います!」
「了解です!」
今日で何体狩ったんだろうか?
途中からわからなくなったけど、ものすごい量を狩ったような気がする。
帰還後のオーストラリア首脳陣の見方に変化があった。内側からだいぶ大量に討伐したことによる効果があり、外側の情勢にも良い傾向が見られつつあるということだった。
2日目も日の出とともに同様の作戦が展開されている。今日は長丁場だが、ルームは封印とみんなに言っている。
その日も、大量に討伐して作業終了。
ダメージはないが、疲労が半端ないので、1日は休暇で一日おきの作業が続く。
◇◇◇◇◇
本日は10日目。すでに終局が見えて来ている。防戦一方だった周りからの攻撃も、押し返す形で徐々に範囲が狭まっていく。
俺たちは、内側でひたすら狩まくるだけ。
その光景は、周りから見ると相当異常に見えるらしい。チート武器半端ない。
討伐を継続していると、突然声をかけられる。
「君が日本から来たハヤテか?」
声をかけて来たのは、上位探索者と思われる金髪美女(年齢不詳)であった。
「はい、そうですけど、どうやってここに?」
周りは魔物だらけのこの状況で、ここに我々のメンバー以外がいることが不思議だった。
「私はレベッカ。レベッカ・ロックよ。名前は聞いたことあるでしょう?」
この人は、現在世界ランキング1位のS級探索者であるレベッカさんだった。
「はい、もちろん知ってます。なぜここにいるんですか?」
「ちょうど、S級ダンジョンから帰国したタイミングでね。USAの後詰めに派遣されたんだけど、もういらないみたいだね。ここオーストラリアは苦戦するって聞いてたんだけどね。
さっきからの君たちの戦闘見てたら納得したよ。君たちすごい強いね。私より強いんじゃないの?」
「ありがとうございます。たしかにもう終盤の感じになって来ました。だいぶ狩りましたから。」
「それじゃあ、向こうのほうを討伐しながら私はもう戻るわ。
君とはまた逢いそうな気がするよ。その時はよろしくね!ハヤテ!」
わ!ウインクされた!本場のウインクって感じする〜!やっぱりアメリカ人ってすごいな。
「颯!今の誰?」
「レベッカ・ロックさん。」
「え?世界ランキング1位の?」
「そう。後詰めで来てくれたんだけど、要らないみたいって言って、戻った行った。」
「わー、そうだったんだ!レベッカさんが。」
やっぱり、有名人。みんなから聞かれて、みんな驚いてた。すごい美人だったしね。人気ありそう。
◇◇◇◇◇
そして、討伐12日目にして、もう自国のみで収束可能と判断したらしく、俺たちの討伐作業は本日をもって終了。オーストラリア首脳陣からは感謝され、当初の不安を払拭して完全勝利でオーストラリアを後にした。
チャーター機の中では、みんな安心感と疲労のため、一度も起きることなく爆睡、そして日本に到着。当然、観光することもなく、討伐作業のみのオーストラリア滞在でした。
収穫としては、みんなのレベルが結構上がったこと。ダンジョンに潜るより、今回の討伐は効率的だった様な気がする。
俺もそろそろ上限に到達しそうです。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます